こんにちは。住まいをつなぐ「すまつな」の北川です。
親と同居する家を建てるとなると、今の暮らしやすさだけでなく、10年後、20年後に親の足腰が変わったときまで想像して間取りを考える必要があります。
ただ、私は「高齢の親と暮らすなら、新築時から家中を介護施設のようにすればいい」とは考えていません。
今は普通に暮らせて、必要になったときに無理なく介護へ対応できる家の方が、親にとっても子世帯にとっても心地よいと思うからです。
私自身、積水ハウスで家を建てるときには、今の便利さだけでなく、年齢を重ねたあとに変えにくい場所をかなり意識しました。
特に廊下、建具、下地、水回り、コンセント、生活動線は、完成してから大きく変えるとなるとなかなか大変です。
二世帯住宅なら、さらに親世帯と子世帯の距離感、夜間の見守り、ヘルパーさんの出入りまで関わってきます。
この記事では、現在は元気な親との同居を考えているあなたに向けて、将来の介護まで見据えた二世帯住宅の間取りを具体的にお話しします。
記事のポイント
- 介護しやすい親世帯の配置と生活動線
- 段差や廊下幅などバリアフリーの考え方
- 車椅子や訪問介護まで考えた間取り
- 積水ハウスで将来対応を考えるポイント
介護しやすい二世帯の基本
介護しやすい二世帯住宅をつくるなら、設備を選ぶ前に親世帯の日常生活をどこで完結させるかを決めることが大切です。
二世帯住宅そのものの共有範囲や費用、完全分離型との違いを先に知りたい場合は、積水ハウスの二世帯住宅の間取り・価格・後悔対策も合わせて読んでみてください。
親世帯は1階で完結させる
高齢の親と暮らす二世帯住宅なら、私は親世帯の主要な生活を1階だけで完結できる間取りをまず考えます。
LDK、寝室、トイレ、洗面、浴室、玄関を同じ階へ配置できれば、足腰が悪くなったあとも毎日の階段移動を減らせます。
今は階段を軽々と上がれる親でも、数十年先まで同じとは限りません。
だからこそ、元気な今の動きだけを基準にせず、「階段を使わなくなっても生活が成立するか」を図面の段階で確認したいところです。
上下分離型の二世帯住宅であれば、親世帯を1階、子世帯を2階へ配置する形はかなり相性がいいでしょう。
一方、左右分離型でも、親側だけは1階に寝室と水回りを集め、将来的に1階生活へ切り替えられるようにしておくと安心感があります。
介護より自立を優先する
介護を考えた家だからといって、最初から何もかも介助前提にしてしまう必要はありません。
むしろ大切なのは、親ができることを自分で続けられる間取りです。
トイレへ自分で行ける、キッチンでお茶を入れられる、玄関まで歩いて新聞を取りに行けるという小さな行動が、日々の暮らしそのものになります。
子世帯がすべて手伝わなければ暮らせない間取りにしてしまうと、親にも子にも負担がかかりやすくなります。
手助けが必要になったときだけ支えやすい距離をつくり、それまでは親世帯だけで普通に生活できる形を目指したいところです。
介護しやすい家とは、介護する人だけが楽な家ではなく、親本人ができるだけ長く自分で暮らせる家です。
共有範囲を先に決める
親と同居するからといって、玄関、キッチン、浴室、リビングまで全部共有する必要はありません。
反対に、完全分離にしてすべてを二つ設ければ介護しやすくなるとも限りません。
例えば、親の入浴介助を将来子世帯が行う可能性が高ければ、浴室を共有した方が使いやすい家庭もあります。
一方、親が元気な間のプライバシーを重視するなら、親世帯側に浴室やシャワーを設ける考え方もあります。
つまり、完全分離、一部共有、完全同居という名前から決めるのではなく、何を一緒に使い、何を別々に使いたいかから考える方が失敗を減らせます。
共有範囲をより詳しく比較したい場合は、積水ハウスの完全分離型二世帯住宅と共有範囲の比較も参考になります。
親世帯の移動を短くする
高齢になると、一つひとつの部屋の広さ以上に、毎日何回も歩く距離が暮らしやすさへ影響してきます。
親世帯では、家事効率だけでなく、夜間の移動や体調が悪い日の動きまで想像してみてください。
寝室とトイレを近づける
介護を考える二世帯住宅で私がかなり重視したいのが、親の寝室とトイレの距離です。
昼間は気にならなくても、夜中に何度もトイレへ行くようになると、長い廊下は大きな負担になってきます。
寝室からトイレまで何度も曲がる間取りより、できるだけ短く、わかりやすい経路にしておく方が移動しやすいでしょう。
ただし、トイレを寝室へ近づけすぎる場合は、流水音や換気扇の音も考えておきたいところです。
壁一枚で便器を寝室側へ向けるのではなく、収納などを間に挟めると生活音を減らしやすくなります。
洗面と浴室を近づける
親世帯の洗面室、脱衣室、浴室を近づけておくと、入浴前後の移動距離を短くできます。
介助が必要になった場合も、寝室から脱衣室まで遠くない方が家族の負担は小さくなります。
さらに、着替えやタオル、下着を水回り付近へ置ける収納があれば、別の部屋まで取りに行く必要がありません。
若いうちは数歩の違いにしか感じませんが、毎日繰り返す動作では、この数歩がじわじわ効いてきます。
洗濯機を親世帯側へ設置する場合も、洗う場所、干す場所、しまう場所まで一続きで考えると生活援助を受ける際にも使いやすくなります。
玄関から居室を近くする
玄関から親世帯のLDKや寝室まで長い廊下を歩く間取りも、将来は負担になる可能性があります。
外出時には靴を履く、荷物を持つ、傘を使うといった動作も加わるため、玄関周辺にはある程度の余裕が欲しいところです。
ベンチを置ける場所があれば、座って靴を履くこともできます。
さらに車で通院する可能性を考えるなら、駐車場所から玄関までの距離や雨の日の動線も確認しておきましょう。
玄関だけをバリアフリーにしても、駐車場から玄関までに段差や狭い通路が続いていれば十分とは言えません。
バリアフリーで優先する場所
バリアフリーというと手すりをたくさん付けるイメージがありますが、新築時に本当に考えたいのは、後から変えにくい寸法や構造です。
手すりそのものは後から設置できますが、廊下を広げたり、壁の位置を変えたりする工事は簡単ではありません。
段差をできるだけ減らす
親世帯の生活範囲では、小さな段差をできるだけ減らしておくことが基本になります。
特に玄関、浴室、掃き出し窓などは高低差が生まれやすいため、設計時から確認しておきたい場所です。
ほんの少しの段差でも、足が上がりにくくなったり、歩行器を使ったりするようになると邪魔になることがあります。
一方で、雨水処理や防水など建物側の事情もあるため、「全部完全にフラット」と決めつけず、設計担当者と納まりを確認することが大切です。
玄関と浴室は先回りする
玄関と浴室は毎日使ううえ、将来工事すると生活への影響も大きいため、新築時に配慮する価値があります。
国土交通省の高齢者向け住宅設計指針でも、段差、通路、出入口、浴室、便所、手すり、温熱環境などが一体で示されています。
一つの設備だけを見るのではなく、移動経路全体で考えることがポイントです。
(出典:国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」)
廊下と出入口の幅を見る
介護しやすい間取りでは、廊下の図面上の幅だけでなく、実際に人が通れる有効幅を見る必要があります。
国土交通省の指針では、日常生活空間内の通路について基本レベルで有効幅780mm以上、推奨レベルで850mm以上などの基準が示されています。
出入口についても基本レベルと推奨レベルが定められており、車椅子や介助を想定すると数字だけでなく曲がり角まで確認する必要があります。
壁芯寸法が広く見えても、壁厚、建具枠、収納扉などによって実際に使える幅は小さくなります。
数字は有効幅で確認する
担当者へ「廊下は何センチですか」と聞くだけでなく、「完成した状態で実際に通れる幅はどれくらいですか」と聞いてみてください。
車椅子を想定するなら、直線部分だけでなく、寝室から廊下へ出る場所やトイレへ曲がる場所の動きも図面上で確認したいところです。
開き戸より引き戸を考える
親世帯の寝室、トイレ、洗面などでは、引き戸が使いやすい場面が多くあります。
開き戸は扉を手前や奥へ動かす場所が必要ですが、引き戸なら横へ動かせるため、立ち位置の自由度を確保しやすくなります。
車椅子に座ったまま開閉する場合や、介助者が横に立つ場合にもメリットがあります。
ただし、引き戸は壁の中や壁沿いに扉を納める場所が必要なので、後から簡単に変更できない間取りもあります。
新築時に引き戸へできる場所を先に決めておくのがおすすめです。
手すりは下地を先に入れる
現在必要がないなら、家中へ手すりを付ける必要はないと思います。
ただ、将来取り付ける可能性が高い場所には、壁の中へ下地を入れておくと対応しやすくなります。
玄関、廊下、トイレ、浴室付近など、立ち座りや方向転換が起きる場所は候補になります。
下地があれば必要になった時点で手すりを設置しやすく、親の身体状況に合わせて位置を決められます。
今の親に合わせて手すり位置を固定するより、「必要になったときに付けられる壁」を用意しておく方が柔軟です。
車椅子を想定した間取り
将来必ず車椅子を使うとは限りませんが、車椅子が通れる程度の余裕は、歩行器や介助が必要になったときにも役立ちます。
廊下幅だけを見るのではなく、曲がる、乗り移る、扉を開けるという動作まで考えてみましょう。
曲がり角に余白をつくる
車椅子は直線の廊下を通れるだけでは十分ではありません。
廊下から寝室へ90度曲がる場所や、トイレへ入る場所で向きを変えられる余裕が必要になります。
そのため、細長い廊下を増やすより、小さなホールを介して各部屋へ入れる間取りが使いやすい場合があります。
収納を廊下へ張り出させたり、後から家具を置いたりすると通路が狭くなるので、完成後の使い方まで見ておきたいところです。
トイレに介助余白を残す
親世帯のトイレは、便器だけが納まる最小寸法にすると将来困ることがあります。
立ち座りを支える人が横に入る、車椅子から便座へ移る、歩行器を一時的に置くといった場面では余白が必要です。
もちろん新築時から非常に大きな介護用トイレにする必要はありません。
それより、隣を収納にして将来壁を動かせるようにするなど、変更できる余地を残す方法もあります。
便器の向きやドアの位置だけでも介助のしやすさは変わるため、図面上で人を二人置いて考えてみてください。
ベッド周りを詰めすぎない
親の寝室では、ベッドが置ければ終わりではありません。
将来介助が必要になれば、ベッドの横へ人が立ったり、福祉用具を置いたりする可能性があります。
壁とベッドの間をぎりぎりまで狭くすると、シーツ交換だけでも大変です。
大型家具をたくさん置く計画より、必要に応じて家具を減らし、ベッド周りを広げられる部屋の方が変化へ対応しやすいでしょう。
親一人の住戸を考えている場合は、親一人の二世帯住宅と1LDKの間取りでも、寝室や水回りの考え方を詳しく紹介しています。
入浴介助を楽にする水回り
家庭内で介助の負担が大きくなりやすい場所の一つが浴室と脱衣室です。
滑りやすく、衣服を脱ぐ動作があり、温度差も生じるため、単純に浴室を広くするだけでは足りません。
脱衣室を狭くしすぎない
洗面化粧台、洗濯機、収納を詰め込むと、脱衣室の床に残る場所は意外と少なくなります。
親を支えながら服を脱ぐことになれば、介助者が立つ場所も必要です。
また、椅子を置いて座ったまま着替えられると、立った状態で片足を上げる動作を減らせます。
洗面室と脱衣室を兼用する場合は、設備を入れたあとの床面積を確認してみてください。
浴槽とシャワーを考える
親が元気なうちは、普通のお風呂をゆっくり楽しみたいという希望も当然あります。
介護を想像するあまり、最初から生活の楽しみまで削る必要はありません。
その上で、浴槽のまたぎやすさ、手を掛けられる位置、洗い場の広さ、滑りにくさなどを確認しておくと安心です。
将来浴槽へ入ることが難しくなった場合でも、洗い場でシャワー浴ができる余裕があれば対応しやすくなります。
温度差にも備える
バリアフリーは段差だけの話ではありません。
暖かいLDKから寒い脱衣室へ移動するような大きな温度差も、高齢期の暮らしでは気にしたい部分です。
国土交通省の設計指針でも、居室、便所、脱衣室、浴室などの温度差をできるだけ小さくするため、断熱や暖冷房設備へ配慮する考え方が示されています。
親世帯だけ暖房計画を簡素にするのではなく、水回りを含めた室温のつながりを担当者へ確認してみてください。
訪問介護を受けやすくする
親の介護をすべて家族だけで行う前提にすると、子世帯の負担が大きくなる可能性があります。
将来ヘルパーさんなど外部の人が家へ入ることも考え、家族以外の人が動きやすい間取りをつくっておくと安心です。
ヘルパーの出入りを考える
完全分離型で親世帯に専用玄関があれば、訪問介護を受ける際にも子世帯を通らず出入りできます。
部分共有型なら、共用玄関から親世帯までどこを通るのか確認しておきましょう。
子どもの部屋や子世帯のLDKを毎回通る間取りだと、お互いに気を遣う場面が増えます。
また、玄関から親の寝室や水回りまで迷いにくい動線にしておくことも大切です。
生活援助の動線を短くする
掃除、洗濯、調理などを手伝ってもらう場合は、キッチン、洗面、洗濯、収納の位置関係が使いやすさに影響します。
洗濯機が親世帯にあるのに物干し場所だけ子世帯側にあるような間取りでは、世帯間を何度も行き来することになります。
親世帯の中で家事がある程度完結していれば、家族が手伝う場合でも外部サービスを利用する場合でも動きやすくなります。
介護のためというより、普段の家事が楽な間取りにしておくことが結果的に役立つわけです。
家族の私物を見せすぎない
ヘルパーさんが来る可能性を考えると、親世帯と子世帯のプライベート空間を分けておく意味もあります。
訪問する人が子世帯の寝室や収納前を通らなくて済むだけでも、家族の気疲れを減らせます。
親と近く暮らすことと、すべてを見える状態にすることは別です。
介護しやすさとプライバシーは両立できます。
見守りとプライバシーを両立
介護を考えると「いつでも様子を見られる方が安心」と考えがちですが、親にも一人で過ごしたい時間があります。
二世帯住宅だからこそ、近くにいながら干渉しすぎない距離をつくりたいところです。
内扉でゆるくつなぐ
完全分離型でも、世帯間に施錠できる内扉を設けられる間取りなら、必要なときだけ行き来できます。
普段はそれぞれの家として生活し、体調が悪い日や介助が必要なときには外へ出ず親世帯へ行けます。
逆に完全同居で常に同じLDKを使う場合は、親も子も一人になれる場所を設けることが大切です。
物理的な距離が少しある方が、むしろ気持ちよく助け合える家族も多いと思います。
夜間の見守りを考える
夜間の見守りが必要になった場合、子世帯の寝室から親世帯まで非常に遠いと対応が大変になります。
上下分離なら階段位置、左右分離なら世帯間の接続位置を見ておきましょう。
ただ、親の寝室を子世帯の生活空間へ近づけすぎると、子どもの足音や夜のテレビなどが伝わる可能性があります。
「近ければ近いほどいい」ではなく、必要なときに短時間で行ける距離を目指すのがちょうどいいと思います。
親の寝室へ音を入れない
上下分離型では、親世帯の寝室の真上に子世帯のLDKや子ども部屋を配置すると、夜間の足音が気になる可能性があります。
親の寝室上部に収納、廊下などを重ねられるなら、生活時間の違いによる影響を減らしやすくなります。
また、排水管の位置にも目を向けてください。
深夜に子世帯がトイレや洗面を使ったとき、親の枕元近くを排水管が通る配置は避けたいところです。
介護しやすい距離にすることと、親世帯を子世帯の生活音で囲むことは別なので、上下の部屋配置まで確認しましょう。
積水ハウスで考える介護
積水ハウスで高齢の親との二世帯住宅を検討する場合は、設備名だけではなく、同社が以前から取り組んでいるユニバーサルデザインの考え方も見ておくと参考になります。
メーターモジュールを生かす
積水ハウスでは、設計の基本単位としてメーターモジュールを採用しており、そのゆとりをユニバーサルデザインにも生かしています。
公式サイトでは、廊下や階段に将来手すりを設置する場合や、車椅子で廊下の角を曲がる場面なども例として紹介されています。
ただし、メーターモジュールだから自動的に家中が車椅子対応になるわけではありません。
実際の有効幅は、間取り、壁、建具、収納などによって変わるため、自分の家の図面で確認することが必要です。
普通の家として使いやすくする
積水ハウスのスマートユニバーサルデザインで私がいいと思うのは、「高齢者専用住宅」にするのではなく、年齢を問わず使いやすい住まいを目指しているところです。
広めの通路や扱いやすい建具は、高齢になってからだけ役立つものではありません。
子どもを抱いて歩くとき、大きな荷物を運ぶとき、掃除するときにも使いやすさにつながります。
介護設備として特別なものを付けるより、普段から家族全員が使いやすい設計を選んでおくという考え方は、二世帯住宅との相性もいいと思います。
担当者の経験まで確認する
同じ積水ハウスで建てても、二世帯住宅で何を優先するかによってプランは大きく変わります。
親の介護、車椅子、完全分離、音、将来のリフォームまで考えるなら、それらをまとめて話せる担当者と進めたいところです。
私自身が家を建てて感じたのも、カタログに載っている性能だけでは家づくりは決まらないということでした。
こちらの希望を理解して、図面へどう落とし込むかを一緒に考えてくれる人がとても大切です。
すまつなでは、積水ハウスとの初回接触前であれば、家族構成や二世帯住宅の希望を踏まえた担当者選びについても相談を受け付けています。
まだ展示場訪問や公式資料請求をしていない段階なら、先にすまつなの積水ハウス紹介サポートへご相談ください。
後から変えにくい部分を優先
予算には限りがあるので、将来必要になるかもしれない設備を全部付けるのではなく、完成後に変更しにくい場所へ先にお金を使う考え方がおすすめです。
壁下地と配管を準備する
手すり用の下地は、新築時なら壁をつくる工程で計画できます。
将来壁を壊して下地を追加するより、必要になりそうな場所へあらかじめ準備しておく方が対応しやすいでしょう。
同様に、水回りの配管も大きな変更が難しい部分です。
親世帯を将来一世帯化する可能性や、逆に介護用設備を追加する可能性があるなら、設計担当者へ先に伝えてください。
コンセントと照明を考える
高齢になると、暗い廊下や足元が見えにくい場所が使いにくくなることがあります。
夜間に寝室からトイレへ移動する経路では、照明のスイッチ位置や足元灯を付けられる電源も考えておくと便利です。
また、将来電動ベッドや介護用品を使う可能性を考えるなら、寝室のコンセントを家具の裏だけに集中させない方が使いやすくなります。
コンセントは完成後でも追加できますが、壁内配線が必要になるため、新築時の方が計画しやすい部分です。
設備追加の余白を残す
ホームエレベーターなど大型設備を最初から入れる必要がない家庭も多いでしょう。
ただ、将来どうしても2階移動が必要な家なら、設置候補場所や構造上の可能性を聞いておく価値はあります。
同じように、トイレを広げられる隣接収納や、間仕切りを変更できる部屋など、設備そのものではなく変更できる余白を用意しておく方法があります。
今すぐ使わない設備へ大きな費用をかけるより、将来の選択肢を消さない設計にしておく方が現実的な場合もあります。
過剰な介護仕様は避ける
高齢の親と住む家づくりで意外と難しいのが、将来を心配するあまり、現在の暮らしを不便にしてしまうことです。
元気なうちは普通に暮らす
親が今元気なら、まずその暮らしを大切にしてください。
料理が好きなら使いやすいキッチンをつくり、庭が好きなら外へ出やすくし、友人を招くなら来客スペースを考える方が親にとっていい家になります。
老後のためだけに親世帯を小さくしすぎたり、必要な収納まで削ったりすると、これから何年も続く元気な時期を窮屈に暮らすことになります。
介護への備えは必要ですが、親の現在の生活と未来の生活を両方見ることが大切です。
介護施設のようにしない
家中に手すりを付け、広い介護用トイレを設け、使うか分からない設備を先回りして入れると、面積も費用も増えていきます。
しかも、本当に介護が必要になったときには、親の身体状況によって必要な設備が想定と違う可能性もあります。
なので、新築時は廊下幅、段差、引き戸、下地、部屋配置などの土台を優先し、身体状況に合わせて追加できる設備は後に残しておく考え方も有効です。
余白へお金を使う
私なら、使うか分からない設備をたくさん買うより、廊下の余裕、脱衣室の余裕、寝室の余裕などへ予算を回します。
余白は介護が必要にならなくても毎日使えます。
買い物袋を持って歩くときにも便利ですし、孫が遊びに来たときにも使いやすく、大きな家具を運ぶ際にも助かります。
何十年も普通に使えるものへ先に予算を配るのが、私は好きですね。
二世帯住宅の広さも確認する
介護しやすい間取りを考えると、どうしても親世帯の廊下、水回り、寝室へ少しずつ余裕が必要になります。
そのため、単純に部屋数だけから延床面積を決めると、通路や収納が窮屈になることがあります。
親世帯を小さくしすぎない
「親は二人だから小さくていい」「親一人だからワンルームでいい」と決めてしまうのは少し早いと思います。
高齢になるほど移動距離は短い方が楽ですが、だからといって空間までぎりぎりにする必要はありません。
むしろ車椅子、歩行器、介助者の動きを考えると、親世帯では一定の余裕が欲しくなります。
部屋をたくさん設けるより、LDK、寝室、水回りを近く配置し、それぞれに必要な余白を持たせる方が使いやすいでしょう。
廊下だけ増やさない
バリアフリーを意識して広い廊下をつくっても、廊下が家中を長く走っていては移動距離が増えます。
大切なのは「広い廊下」より「短くて通りやすい経路」です。
LDK、寝室、トイレ、水回りをコンパクトに配置し、必要な場所だけに余裕をつくることで、建物全体が大きくなりすぎるのも防ぎやすくなります。
土地と駐車場まで考える
二世帯住宅では建物だけでなく、親世帯と子世帯の車、来客、将来の送迎車などを置く場所も必要になります。
親が車椅子になった場合、車の横で乗り降りする場所が必要になることもあるでしょう。
玄関から離れた狭い駐車場では、建物内だけバリアフリーにしても使いにくさが残ります。
必要坪数や駐車台数まで考えたい場合は、二世帯住宅に必要な坪数と間取りの比較も参考にしてください。
家族で決める順番が大切
介護しやすい家は、子世帯だけで考えて完成するものではありません。
親本人の希望、介護をする側の負担、将来の家の使い方を順番に話しておくことが大切です。
親本人の希望を聞く
子どもから見ると便利そうな間取りでも、親本人が望んでいないことがあります。
例えば、子世帯と毎日一緒に食事をしたい親もいれば、自分のキッチンで好きな時間に料理したい親もいます。
お風呂を共有したい家庭もあれば、入浴時間まで気を遣いたくない家庭もあるでしょう。
介護の話だけでなく、元気なうちにどう暮らしたいかを先に聞いてください。
介護する側の負担も見る
親の希望を大切にする一方で、将来子世帯だけが無理をする間取りにもしたくありません。
親の寝室まで遠い、入浴介助できる場所がない、トイレが狭いという状態では、家族の身体的な負担が増えていきます。
「親にとって快適か」と同じくらい、「支える人が無理なく動けるか」も図面で見ておきましょう。
親世帯の将来利用も考える
二世帯住宅は、いつか親世帯が空く可能性があります。
その後に子世帯の一部として使うのか、仕事部屋や客間として使うのかによって、今つくる間取りも変わります。
完全分離型であれば別住戸としての使い方を検討できる場合もありますが、建物の構造や設備だけでなくさまざまな条件が関わります。
だからこそ、新築時から壁を変更しやすくする、内扉を設けるなど、次の使い方へつなげられる計画を考えておきたいところです。
二世帯住宅と介護のよくある質問
Q1. 親と同居するなら二世帯住宅は1階を親世帯にするべきですか?
A. 基本的には、親世帯の主要な生活を1階で完結させる間取りをおすすめします。
寝室、LDK、トイレ、洗面、浴室、玄関を同じ階へ置けば、将来階段を使わなくなっても暮らしやすく、子世帯が介助するときの移動も少なくできます。
左右分離型にする場合も、親側だけは1階生活へ切り替えられるように考えておくと安心です。
Q2. 二世帯住宅は最初から車椅子対応にするべきですか?
A. 将来必ず車椅子を使うとは限らないため、介護専用設備をすべて設置する必要はありません。
ただし、廊下や出入口の有効幅、曲がり角、トイレ、寝室周辺など、完成後に広げるのが難しい部分は新築時から余裕を持たせる価値があります。
必要になったときに手すりや福祉用具を追加できる家を目指すと現実的です。
Q3. 二世帯住宅で介護しやすいドアは引き戸ですか?
A. 寝室、トイレ、洗面などでは、引き戸が使いやすい場合が多いでしょう。
開き戸のように扉の前後へ大きな開閉場所を必要としにくく、車椅子や介助者がいる場面でも動きやすくなります。
ただし壁沿いに扉を収納する場所が必要なので、採用できる位置は設計段階で確認してください。
Q4. 訪問介護を考えるなら完全分離型がいいですか?
A. 完全分離型は親世帯へ直接出入りしやすいため相性はいいですが、必須ではありません。
部分共有型でも、玄関から親世帯まで子世帯のリビングや寝室を通らない経路をつくれれば、外部の人を迎えやすくなります。
介護サービスだけでなく、親の来客や宅配便など普段の暮らしにも使いやすい動線を考えてください。
Q5. 積水ハウスは介護を考えた二世帯住宅に向いていますか?
A. 積水ハウスはメーターモジュールやスマートユニバーサルデザインの考え方を持っているため、将来の手すりや車椅子移動を考える際の選択肢があります。
ただし、積水ハウスで建てれば自動的にすべてがバリアフリーになるわけではなく、廊下幅、建具、水回り、部屋配置は一邸ごとに確認する必要があります。
特に二世帯住宅では、介護だけでなく音やプライバシーまで理解した担当者と進めることが大切です。
介護しやすい二世帯住宅まとめ
高齢の親と暮らす二世帯住宅では、現在の暮らしだけでなく、将来の段差、移動距離、入浴、トイレ、夜間の見守りまで考えておく必要があります。
私なら、まず親世帯を1階で完結させ、寝室とトイレ、水回りを近づけるところから考えます。
そのうえで、廊下や出入口の有効幅、引き戸、手すり用の下地、脱衣室、車椅子が曲がる場所など、完成後に変えにくい部分を優先します。
反対に、今使わない大型設備や介護用品まで最初からそろえる必要はありません。
親が元気な間は普通の家として気持ちよく暮らせ、身体状況が変わったときに必要な設備を追加できるくらいが、私はちょうどいいと思います。
そして、介護しやすさだけを追い求めて、親と子のプライバシーを犠牲にしないことも重要です。
内扉や世帯ごとの玄関などを使い、近くに住みながら必要なときだけ助け合える距離をつくってください。
積水ハウスで二世帯住宅を考えるのであれば、間取りだけでなく、バリアフリー、音、温熱環境、将来変更まで一緒に考えてくれる担当者に出会えるかもかなり大切です。
あなたが今考えている家は、親が80代、90代になったときにも「ここに建ててよかった」と思えるでしょうか。
その視点を図面へ一つ加えるだけで、将来の安心感はかなり変わると思います。

