こんにちは。住まいをつなぐ「すまつな」の北川です。
二世帯住宅を考え始めると、建築費や住宅ローンだけでなく、入居後に毎年かかる固定資産税も気になってきます。
さらに調べていくと、「二世帯住宅なら固定資産税が安くなる」「完全分離なら税金の優遇が2戸分使える」といった情報も出てくるので、かなり分かりにくいんですよね。
私も積水ハウスで家を建てたあと、実際に固定資産税の家屋調査の案内を受け取りました。
そこで改めて感じたのが、建築費と固定資産税の評価は別の話であり、二世帯住宅についてはさらに「何戸の住宅として評価されるのか」が大きなポイントになるということです。
二世帯住宅だから自動的に固定資産税が安くなるわけではありません。
玄関、キッチン、トイレなどの設備、世帯間の仕切り方、床面積、建物の評価額、土地、登記や自治体側の判定によって負担は変わります。
この記事では、二世帯住宅の固定資産税はいくらになるのか、不動産取得税の軽減まで含めて、家を建てる前に知っておきたいポイントを一つずつ解説します。
記事のポイント
- 二世帯住宅の固定資産税が決まる仕組み
- 2戸扱いで受けられる可能性がある軽減
- 不動産取得税の控除と床面積の要件
- 税金と建築費を合わせた判断方法
二世帯住宅の固定資産税の結論
まず最初に、二世帯住宅だから固定資産税が一律に高くなったり、反対に必ず安くなったりするわけではありません。
固定資産税を考えるときは、「二世帯住宅」という商品名ではなく、土地と家屋がどのように評価され、住宅の戸数がどのように認定されるのかを見る必要があります。
二世帯だから税額は決まらない
固定資産税は、原則として毎年1月1日時点の土地や家屋などの所有者に課税されます。
家屋については、固定資産評価基準に基づいて決められた評価額などをもとに税額が計算されます。
一般的な固定資産税の標準税率は1.4%ですが、単純に「建築費×1.4%」で計算するわけではありません。
例えば6,000万円で家を建てたから、固定資産税が毎年84万円になるという計算ではないわけです。
固定資産税で最初に覚えておきたいのは、建築会社へ支払った金額と固定資産税評価額は別物だということです。
建築費、土地の購入価格、住宅会社の坪単価だけを見ても、実際の固定資産税額は分かりません。
二世帯住宅ではさらに、建物が固定資産税上で1戸として扱われるのか、独立した2戸として扱われるのかによって、新築住宅の減額対象面積や土地の住宅用地特例に違いが生じる可能性があります。
積水ハウスの二世帯住宅そのものの間取りや完全分離型の考え方については、積水ハウスの二世帯住宅を間取り・価格・後悔対策までまとめた記事で詳しく解説しています。
税額は土地と家屋を分けて見る
固定資産税を考えるときは、土地と家屋をごちゃ混ぜにしない方が分かりやすいです。
土地には住宅用地に対する課税標準の特例があり、家屋には新築住宅の固定資産税を一定期間減額する制度があります。
二世帯住宅で2戸と認められる場合には、この「戸数」が土地側と家屋側の軽減に関係することがあります。
固定資産税はいくらになるか
二世帯住宅の固定資産税の相場や平均を知りたい人は多いと思います。
ただ、全国共通の「二世帯住宅なら年間○万円」という平均値をそのまま資金計画へ使うのはおすすめできません。
固定資産税の基本計算
家屋の固定資産税は、基本的には固定資産税評価額をもとに計算されます。
基本的なイメージ
固定資産税=課税標準額×税率
家屋では固定資産課税台帳に登録された価格を基礎として計算され、住宅用地では各種特例を反映した課税標準額が使われます。
ここで重要なのが、家屋の評価額は住宅会社の請負金額そのものではないことです。
同じ建築費でも、構造、屋根、外壁、床、内装、設備などが異なれば評価も変わります。
土地についても購入価格をそのまま掛けるわけではありません。
そのため、二世帯住宅の固定資産税がいくらになるかを建築前に正確な金額まで出すのは難しく、資金計画ではある程度幅を持たせて考える必要があります。
仮の評価額で考える
仕組みを理解するため、家屋の固定資産税評価額が仮に2,400万円だったとします。
標準税率1.4%だけを単純に掛けると33万6,000円ですが、新築住宅に該当して減額要件を満たせば、一定の床面積について固定資産税が軽減される可能性があります。
つまり、33万6,000円という数字がそのまま最終的な納税額になるわけではありません。
反対に新築時の軽減期間が終了すると、軽減されていた部分が本来の税額へ戻ります。
「数年後に固定資産税が急に高くなった」と感じる原因の一つがこれです。
固定資産税に平均は使いにくい
二世帯住宅は、一般的な一戸建てより延床面積が大きくなりやすいため、結果として家屋の評価額も大きくなる可能性があります。
キッチン、洗面、トイレ、浴室などを世帯ごとに設ければ設備も増えます。
ただし、50坪の完全分離型と50坪の一部共有型でも設備内容は違いますし、木造と鉄骨でも評価の内容は同じではありません。
土地の広さや住宅の戸数によって住宅用地の特例も変わる可能性があります。
だからこそ、二世帯住宅の固定資産税については平均額を探すより、自分の計画が1戸扱いなのか2戸扱いになる可能性があるのかを先に確認した方が実用的です。
新築住宅の固定資産税軽減
一定の要件を満たす新築住宅には、家屋の固定資産税を一定期間軽減する制度があります。
二世帯住宅でも対象になり得ますが、戸数の判定と各住戸の床面積が重要になります。
新築住宅は一定期間軽減される
現在の制度では、一定の要件を満たす一般的な新築住宅について、居住部分のうち1戸当たり120平方メートルまでを対象に固定資産税が2分の1に減額されます。
一般的な住宅の減額期間は3年間で、3階建て以上の耐火・準耐火住宅などでは期間が異なります。
また、現在新築する住宅については、原則として1戸当たりの床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下であることなどが要件になります。
制度の概要や長期優良住宅の軽減期間については、国土交通省「認定長期優良住宅を取得したときに利用できる減税制度」でも確認できます。
新築後ずっと固定資産税が半額になる制度ではありません。
軽減期間が終わった後は本来の税額へ戻るため、住宅ローン返済計画では軽減終了後の負担も見ておく必要があります。
2戸なら対象面積も変わる可能性
ここが二世帯住宅でよく注目されるところです。
仮に独立した2戸の住宅として認められ、それぞれが床面積などの要件を満たしていれば、各住戸について新築住宅の減額を受けられる可能性があります。
一方、生活上は二世帯でも税務上は1戸と判断されれば、1戸として扱われます。
親世帯と子世帯が住んでいるという事実だけで、軽減枠が自動的に2倍になるわけではありません。
長期優良住宅は期間が長い
認定長期優良住宅では、新築住宅に対する固定資産税の減額期間が一般住宅より長くなります。
一般的な戸建住宅では通常3年間のところ、認定長期優良住宅では5年間となる仕組みです。
ただし、長期優良住宅であるだけで自動的にすべて完了するわけではなく、認定や必要な申告などの手続きが関係します。
二世帯住宅で長期優良住宅を検討するときも、認定上の住戸と固定資産税上の戸数を同じものだと決めつけない方がいいでしょう。
二世帯住宅の2戸扱いの要件
二世帯住宅の固定資産税で一番ややこしい部分が、「何をもって2戸の住宅と考えるのか」です。
自治体によって具体的な確認方法には違いがありますが、一般的には構造上の独立性と利用上の独立性が重要になります。
構造上の独立性を見る
構造上の独立性とは、親世帯と子世帯の居住部分が建物として区分されているかという考え方です。
例えば壁や床などで区画され、それぞれの専用部分が明確になっている住宅です。
上下分離型なら1階と2階、左右分離型なら建物の左右に分ける計画が代表的でしょう。
一方、リビングからそのまま親世帯の部屋へ入れるような完全同居に近い間取りでは、独立した2戸と見るのが難しくなることがあります。
内部ドアにも注意する
完全分離型でも、介護や子育てを考えて世帯間に内部ドアを設けたい家庭は多いです。
雨の日でも外へ出ずに行き来できるので、暮らしだけを考えればかなり便利ですよね。
しかし、内部のつながり方は住宅の独立性を判断する材料になる場合があります。
鍵のある扉なら必ず2戸、扉があれば必ず1戸という単純なルールではありません。
設計図が固まる前に、予定している間取りを見せたうえで課税を担当する自治体へ確認するのが確実です。
利用上の独立性も重要
もう一つが利用上の独立性です。
簡単に言えば、親世帯と子世帯がそれぞれの専用部分だけで生活できる状態になっているかということ。
自治体の案内では、玄関、居室、キッチン、トイレなどがそれぞれ設置されているかを判断材料としている例があります。
不動産取得税についても、構造上の独立性と利用上の独立性の両方を確認する自治体があります。
例えば茨城県では、壁や扉などで世帯が区分されていることに加え、それぞれに専用の玄関、台所、トイレ、浴室があり、独立して生活できることなどを二世帯住宅の判断基準として案内しています。
(出典:茨城県「住宅及び住宅用土地を取得した場合の不動産取得税の軽減」)
玄関共有はどうなるのか
「二世帯住宅で玄関を共有すると固定資産税はどうなるのか」という質問もよくあります。
玄関を共有しているから必ず1戸扱いになる、と全国一律には言い切れません。
ただし、各世帯が独立して生活できるかを見る際に専用玄関を要件としている自治体もあるため、玄関共有型では2戸認定に影響する可能性があります。
税金だけを見れば専用玄関を2カ所設けたくなるかもしれません。
しかし玄関ドア、玄関ホール、収納、インターホン、宅配対応、外構動線まで増やせば、その分だけ建築費や必要面積も増えます。
数年間の税負担だけを減らすために数十年使う間取りを変えてしまうのは、本末転倒になりかねません。
土地の固定資産税も変わる
二世帯住宅の税金メリットを考えるなら、家屋だけではなく土地も重要です。
住宅が建っている土地には住宅用地の特例があり、住宅の戸数が対象面積に関係します。
小規模住宅用地の特例
住宅用地のうち、住宅1戸につき200平方メートルまでの部分は小規模住宅用地として扱われ、固定資産税の課税標準が価格の6分の1になる特例があります。
200平方メートルを超える住宅用地の部分については、一定の範囲で一般住宅用地として価格の3分の1が課税標準になります。
ここで二世帯住宅が2戸として認められると、住宅戸数に応じて小規模住宅用地の対象となる面積が広がる可能性があります。
土地が330平方メートルなら
例えば330平方メートルの住宅用地を考えてみましょう。
住宅が1戸なら、小規模住宅用地は原則として200平方メートルまでです。
残りの土地については一般住宅用地として扱われる部分が出てきます。
一方、独立した住宅2戸として認められる場合、小規模住宅用地の枠は戸数に応じて考えられるため、330平方メートル全体が小規模住宅用地の範囲に収まる可能性があります。
土地が広い二世帯住宅ほど、この違いが固定資産税へ影響するケースがあります。
都市計画区域などでは固定資産税とは別に都市計画税が課税される場合があります。
住宅用地には都市計画税についても課税標準の特例がありますので、土地の年間負担を見るときは固定資産税だけで終わらせないことも大切です。
二世帯住宅の不動産取得税
二世帯住宅を新築するときに忘れやすい税金が不動産取得税です。
固定資産税が毎年かかる税金なのに対し、不動産取得税は土地や建物を取得したときに課税される税金です。
不動産取得税の計算方法
住宅の不動産取得税では、固定資産評価基準に基づく住宅の価格などから一定の控除額を差し引き、住宅に適用される税率で計算します。
現在、住宅について使われる税率は3%です。
新築住宅の基本イメージ
不動産取得税=(住宅の価格-控除額)×3%
ここでも注意したいのが、住宅会社へ支払った建築費をそのまま使うわけではない点です。
固定資産税と同じように、「7,000万円の二世帯住宅だから7,000万円×3%」という計算ではありません。
新築住宅は1200万円控除
現在、新築住宅が床面積などの要件を満たした場合、原則として住宅の価格から1戸につき1,200万円を控除できる制度があります。
床面積は現在の制度では40平方メートル以上240平方メートル以下が基本となっています。
認定長期優良住宅では、一定の要件を満たす場合に控除額が1,300万円となります。
過去に取得した住宅では床面積要件などが異なる場合があるため、以前の制度を紹介した記事と現在の計画を混同しないようにしてください。
2戸なら控除も2戸分の可能性
二世帯住宅で特に大きいのがここです。
構造上・利用上それぞれ独立した2戸の住宅として認められ、それぞれが軽減要件を満たす場合には、各住戸について控除を受けられる可能性があります。
仮にそれぞれ1,200万円の控除対象となれば、1棟全体を1戸として扱う場合との差は大きくなることがあります。
ただし、「完全分離型と呼んでいるから1,200万円×2」と自分で決めて資金計画へ入れてはいけません。
間取りと床面積を見たうえで、実際にどの単位で適用されるかを確認する必要があります。
土地にも軽減がある
住宅用の土地を取得した場合も、一定の要件を満たせば不動産取得税の軽減を受けられることがあります。
新築住宅の床面積や土地取得から住宅新築までの期間などが関係するため、土地を先に購入する場合は建物だけでなく土地側の要件も確認してください。
親名義の土地に二世帯住宅を建てる場合は、新たに土地を取得するケースとは税金の入口が変わります。
土地名義、建物名義、親子の建築費負担については、親の土地に二世帯住宅を建てる場合の費用負担と名義もあわせて読んでみてください。
固定資産税が高いと感じる理由
二世帯住宅の固定資産税を調べていると、「思ったより高かった」という話も見つかります。
これにはいくつか理由があります。
建物が大きくなりやすい
二世帯住宅は、単世帯住宅より延床面積が大きくなりやすいです。
親世帯用の寝室やLDKだけでなく、玄関、廊下、収納、洗面、トイレなども増えるためです。
完全分離型ではキッチンや浴室まで二つ設けるケースがあり、建物そのものの規模も大きくなります。
結果として評価される家屋の内容が増え、固定資産税の負担も一般的なコンパクト住宅より大きくなる可能性があります。
設備が二世帯分になる
完全分離型ではキッチン、浴室、洗面台、トイレ、給湯設備などが2セットになることがあります。
建築費だけではなく、固定資産税の家屋評価でも建物の仕上げや設備などが確認対象になります。
だからといって「キッチンを2台付けたら税額が○万円上がる」と設備単体で簡単に算出できるものではありません。
税金を抑えたいから必要な設備を削るという順番ではなく、暮らしに必要な設備を決め、そのうえで税負担を見る方が自然です。
新築軽減が終了する
入居後しばらくして固定資産税が高くなったように感じる最大の理由の一つが、新築住宅の軽減期間終了です。
これは税率が突然引き上げられたという話ではありません。
今まで軽減されていた税額が本来の水準へ戻るため、納税通知書を見たときに増えたように感じます。
住宅ローン返済に加えて固定資産税を家計へ組み込むなら、新築時の金額ではなく軽減終了後の負担でも無理がないかを見ておくべきでしょう。
税金だけで完全分離にしない
二世帯住宅には税制上有利になる可能性がありますが、ここを目的に間取りを決めるのはおすすめしません。
住宅は何十年も暮らす場所だからです。
設備を増やせば建築費も増える
2戸としての独立性を高めようとすると、専用玄関、キッチン、トイレ、浴室、洗面などを世帯ごとに設ける計画になりやすくなります。
当然ですが、それらは無料ではありません。
設備本体だけでなく、給排水、電気、換気、給湯、壁、建具、床面積まで増える可能性があります。
完全分離型では1棟の中に小さな住宅を二つ作るような構成になるので、共有型より建築費は上がりやすいです。
積水ハウスの二世帯住宅で総額や設備増加による費用差を知りたい場合は、積水ハウス二世帯住宅の坪数別総額と見積もり内訳も参考にしてください。
税額差と建築差額を比べる
仮に2戸扱いによって年間の固定資産税が数万円単位で軽くなったとしても、そのためだけに不要な設備を追加して建築費が大きく増えれば、家計全体では得にならない可能性があります。
さらにキッチンや給湯器などは将来交換が必要になる設備です。
新築時だけでなく、十数年後の設備更新も2世帯分になるかもしれません。
税金メリットだけを見て設備を増やさないこと。
建築費、固定資産税、設備更新費、光熱費、生活のしやすさまで合わせて判断するのが二世帯住宅では大切です。
設計前に自治体へ確認する
二世帯住宅の固定資産税で後悔しないためには、完成してから確認するのでは遅い場合があります。
2戸としての独立性を意識するなら、間取り変更ができる段階で確認しておきたいところです。
図面を持って確認する
「二世帯住宅を建てる予定です」と電話で伝えるだけでは、具体的な判定まで難しいことがあります。
上下分離なのか左右分離なのか、玄関は共用なのか、キッチンや浴室はどうなっているのか、内部扉があるのかで条件が変わるからです。
ある程度プランが固まった段階で、平面図などを使って確認できると話が早くなります。
特に確認したいのは次のような内容です。
| 確認項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 住宅の戸数 | 現在の間取りで1戸・2戸のどちらとして評価される可能性があるか |
| 玄関 | 共有玄関や専用玄関の構成が独立性の判定へどう影響するか |
| 内部扉 | 世帯間の扉や通路が構造上の独立性へどう影響するか |
| 床面積 | それぞれの住戸が軽減制度の床面積要件を満たすか |
| 土地 | 住宅用地特例における住宅戸数をどのように数えるか |
| 不動産取得税 | 各住戸について控除の対象となる可能性があるか |
登記と課税判定は別に考える
二世帯住宅では単独登記、共有登記、区分登記などの言葉も出てきます。
ここで気を付けたいのは、登記方法だけ見て固定資産税や不動産取得税の扱いを決めつけないことです。
税目によって要件や判定単位が異なるため、「区分登記にすればすべての税制で2戸分有利になる」という考え方は危険です。
住宅ローン、親子の資金負担、相続、将来売却まで関係するため、税金だけを理由に登記方法を決めるべきではありません。
設備分離との関係も考える
二世帯住宅を独立させるときは、建物の間取りだけではなく電気、水道、ガス、通信などの設備も考えることになります。
ただし、税務上2戸と認められる要件と、電気や水道の契約を完全に分ける条件は同じではありません。
メーター分離とは別の話
電気や水道のメーターを二つ設置すれば固定資産税も必ず2戸になる、というわけではありません。
反対に、本メーターを共有しているから必ず1戸になるとも単純には言えません。
税務上の住宅戸数は住宅としての構造や利用方法から判断される一方、電気や水道は供給会社や自治体の契約条件が関係します。
設備をどこまで分けるかについては、二世帯住宅の電気・水道メーターと設備の分け方で詳しく解説しています。
生活費の分担まで見る
完全分離型にしても、固定資産税を親世帯と子世帯でどのように負担するかは別問題です。
建物を共有名義にしている場合、実際の支払いをどちらが担当するのか決めておく必要があります。
電気代、水道代、火災保険、修繕費まで含め、「誰の名義か」と「誰が払うか」を家族で共有しておくと後から揉めにくくなります。
親が亡くなった後の固定資産税
「二世帯住宅で親が亡くなったら固定資産税はどうなるのか」という心配も多いと思います。
親が亡くなったという理由だけで、二世帯住宅の固定資産税が自動的に倍になるわけではありません。
固定資産税は所有者へ引き継がれる
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者を基準に課税される税金です。
所有者が亡くなった場合、その後は相続関係や相続登記に応じて納税義務者が変わっていきます。
亡くなった年度の納税義務も一般的には相続人へ引き継がれます。
つまり、親が亡くなった瞬間に「二世帯住宅ではなくなったから税額が2倍」という仕組みではありません。
住宅の使い方が変わる場合は確認
一方で、親世帯を解体したり、店舗など別用途へ変更したり、土地の住宅利用そのものが変わったりすれば、土地や家屋の課税関係が変わる可能性があります。
親世帯が空いたあと、子世帯がそのまま使う、一世帯化する、賃貸を検討するなど、将来の使い方によって確認事項は変わります。
二世帯住宅では建築時だけでなく、親世帯を使わなくなった後の出口まで考えておくと安心です。
相続登記も忘れない
親が土地や建物の所有者になっている場合、相続が発生すると不動産の名義変更も必要になります。
二世帯住宅では土地は親名義、建物は親子共有といった組み合わせもあるため、誰が何を相続するのかが一般的な一戸建てより複雑になることがあります。
兄弟姉妹がいる家庭では、同居していない相続人も関係してくる可能性があります。
固定資産税だけを考えるのではなく、建築時から土地と建物の所有関係を家族で共有しておくことが大切です。
北川家にも家屋調査が来た
ここは私自身の経験も紹介します。
私は積水ハウスで自宅を建てましたが、完成後には固定資産税を担当する部署から家屋調査の案内が届きました。
二世帯住宅ではありませんが、「新築後にどのように家屋の確認が進むのか」という意味では参考になると思います。
建築費だけで決まらないと実感
注文住宅を建てている最中は、とにかく見積書の数字ばかり見ています。
私の家も本体価格、設備、内装、外構などを積み上げていくと総額がかなり大きくなりました。
でも固定資産税では、住宅会社へ最終的にいくら支払ったかだけで判断するのではありません。
家屋調査では建物の構造や仕上げなどを確認し、固定資産評価基準に基づいて評価していきます。
この違いを理解していないと、「建築費がこれくらいだから固定資産税もこれくらいだろう」と間違った予測をしてしまいます。
税金メリットの考え方
二世帯住宅には、条件次第で固定資産税や不動産取得税の優遇を受けやすくなる場面があります。
ただ、私は「税金が安い家」を目標にするより、「暮らしやすい家の中で使える制度を漏らさず使う」という考え方がおすすめです。
2戸扱いのメリット
独立した2戸として認められ、それぞれが要件を満たす場合には、新築住宅の固定資産税減額、不動産取得税の住宅控除、住宅用地の特例などで1戸扱いより有利になる可能性があります。
特に土地面積が広い住宅では、小規模住宅用地の対象範囲が住宅戸数によって変わる影響を受けることがあります。
建物についても、1戸当たりの減額対象面積や不動産取得税の控除が関係します。
2戸にするデメリットもある
一方で、専用玄関や水回りを二つ設ければ、建築費も維持費も増えます。
設備が2セットなら、将来の交換も基本的には2セット。
清掃する場所も増えますし、親世帯を使わなくなった後に広い住宅をどう使うかという問題も出てきます。
完全分離が悪いわけではありません。
むしろ生活時間が違う家庭なら、多少費用が上がっても完全分離にする価値は十分あると思います。
ただし、その理由は税金ではなく、家族が無理なく暮らせること。
その結果として税制上使える制度があるなら、しっかり活用するという順番が自然です。
契約前に確認するポイント
二世帯住宅は、間取り、住宅ローン、名義、税金がつながっています。
どれか一つだけを最後に決めようとすると、他の条件と合わなくなることがあります。
設計段階で確認しておく
少なくとも次の内容は、建築請負契約や最終設計の前から確認しておきたいところです。
- 固定資産税上で1戸と2戸のどちらになる可能性があるか
- 親世帯と子世帯それぞれの床面積
- 玄関共有や内部扉が独立性の判定へ与える影響
- 新築住宅の固定資産税軽減を受けられるか
- 不動産取得税の住宅控除をどの単位で受けられるか
- 住宅用地の戸数をどのように数えるか
- 長期優良住宅の認定と税制上の扱い
- 土地と建物を誰の名義にするか
- 親子が建築費をどの割合で負担するか
- 親世帯を使わなくなった後の住宅の使い方
特に「税金が安くなると聞いたので完全分離にした」という状態は避けたいですね。
建築費と長期的な税負担を同じ表に並べて比較すると判断しやすくなります。
私なら、二世帯住宅の判断順序は「暮らし方→間取り→建築費→税金」にします。
税制優遇を使うことは大切ですが、税制に合わせて暮らしを不便にする必要はありません。
二世帯住宅の固定資産税FAQ
Q1. 二世帯住宅の固定資産税はいくらですか?
A. 建物の固定資産税評価額、土地の評価、床面積、住宅戸数、新築軽減などによって変わるため、一律の金額はありません。
建築費へ1.4%を掛ければ算出できるものでもありません。
資金計画では、1戸・2戸のどちらとして扱われる可能性があるかと、新築住宅の軽減期間終了後まで確認するのがおすすめです。
Q2. 完全分離型なら必ず固定資産税が安くなりますか?
A. 必ず安くなるわけではありません。
独立した2戸として認められれば、新築住宅の減額や住宅用地の特例で有利になる可能性があります。
ただし、完全分離型は玄関や水回りなどの設備が増え、建築費そのものも高くなりやすいため、税額だけで損得を判断しない方がいいでしょう。
Q3. 玄関共有の二世帯住宅でも2戸扱いになりますか?
A. 玄関共有だけで全国一律に1戸・2戸を決めることはできません。
ただし、利用上の独立性を見る際に専用玄関を確認する自治体もあるため、玄関を共有する計画では2戸認定へ影響する可能性があります。
間取りが変更できる段階で自治体へ確認しておくと安心です。
Q4. 二世帯住宅の不動産取得税は軽減されますか?
A. 一定の床面積などの要件を満たした新築住宅では、住宅価格から1戸につき1,200万円を控除できる制度があります。
独立した2戸の住宅として認められ、それぞれが要件を満たす場合には、各住戸について控除対象となる可能性があります。
認定長期優良住宅では一定の要件のもと控除額が1,300万円となる制度もあります。
Q5. 親が亡くなったら固定資産税は高くなりますか?
A. 親が亡くなったことだけを理由に固定資産税が自動的に高くなるわけではありません。
所有者が亡くなった場合は相続人へ納税義務が引き継がれ、その後の相続登記などに応じて納税義務者が変わります。
ただし、親世帯の解体や用途変更などによって住宅や土地の利用状況が変われば、課税関係が変わる可能性があります。
二世帯住宅の税金まとめ
二世帯住宅だから固定資産税が自動的に安くなるわけではありません。
ポイントになるのは、親世帯と子世帯が構造上・利用上どこまで独立しているのか、そして税務上何戸の住宅として扱われるのかです。
独立した2戸として認められ、それぞれが要件を満たせば、新築住宅の固定資産税軽減、不動産取得税の控除、土地の住宅用地特例などで1戸扱いより有利になる可能性があります。
一方で、2戸としての独立性を高めるために玄関、キッチン、浴室、トイレなどを増やせば、建築費も大きくなります。
設備が増えれば将来の交換費も増えるでしょう。
だから私は、税金を安くするために二世帯住宅の間取りを決めるのではなく、家族が暮らしやすい間取りを決め、その住宅で利用できる税制優遇を確認する順番がいいと考えています。
完全同居、一部共有、完全分離のどれが正解かは家族によって違います。
親世帯と子世帯の生活時間、来客、家事、介護、子育て、費用負担、将来の相続まで考えると、数年間の税額差だけでは決められません。
設計がある程度まとまった段階で、住宅会社だけで判断せず、予定している間取りをもとに自治体で固定資産税と不動産取得税の扱いを確認しておくと、完成後の「思っていた税制と違った」を減らせます。
積水ハウスで二世帯住宅を検討していて、完全分離にするか、一部共有にするか、価格や間取りも含めて入口から相談したい場合は、すまつなの積水ハウス紹介サポートをご利用ください。
私自身が積水ハウスで家を建てて暮らしている施主として、家づくりのスタートで損をしないようにお手伝いしています。

