こんにちは。住まいをつなぐ「すまつな」の北川です。
注文住宅の打ち合わせで、私が「地味だけど、ここは本気で考えた方がいい」と感じたものの一つが、コンセント・照明・スイッチ・LANを含む配線計画です。
キッチンや床材は完成後も目に入りますが、壁の中を通る電気配線やLAN配線は、家が完成すると簡単には触れません。
しかも、コンセントは「各部屋に何個付けるか」だけで考えても、なかなか使いやすい家にはならないんですよ。
ソファをどこへ置くのか、掃除機をどこで使うのか、スマホをどこで充電するのか、クリスマスツリーをどこへ飾るのか、パソコンはどこへ置くのか。
こうした実際の生活から逆算して初めて、必要な電源の場所が見えてきます。
我が家でも積水ハウスとの打ち合わせから施工中の現場確認まで、コンセントや照明の位置を何度も見ましたが、図面だけを眺めていると気づきにくいポイントが本当に多くありました。
この記事では、これから注文住宅を建てるあなたに向けて、コンセント計画から照明、スイッチ、有線LAN、Wi-Fiルーター置き場、空配管、屋外電源までまとめて解説します。
記事のポイント
- コンセントを家具と家電から決める方法
- 照明とスイッチで後悔しない考え方
- 有線LANとWi-Fi置き場の決め方
- 完成前に確認したい電気配線のポイント
配線計画は間取りと同時に
注文住宅の電気配線は、間取りが完全に決まってから考える付属作業ではありません。
むしろ、家具、家電、収納、窓、建具、生活動線と同じタイミングで考えておきたい設計項目です。
配線計画を含む全体の優先順位は、注文住宅の間取りの決め方で整理しています。
口数ではなく使う場所で考える
注文住宅のコンセント計画で私が大切だと思うのは、単純な口数ではなく「その場所で何をするのか」から考えることです。
例えば8畳の寝室にコンセントがたくさん付いていたとしても、ベッドを置いたら全部家具の裏へ隠れてしまったら意味がありません。
反対に、コンセントがそれほど多くなくても、ベッド横、掃除機を使う位置、テレビ周辺、充電場所などへ的確に配置できていれば日常生活では困りにくくなります。
「一部屋に何個」ではなく「この場所で何を使うか」を一つずつ確認する。
ここが注文住宅のコンセント計画の出発点かなと思います。
Panasonicも住宅の配線計画について、コンセントの数だけではなく位置・種類・高さを暮らしに合わせて早い段階から考えることを案内しています。
(出典:Panasonic「早めに始めよう、配線計画のすすめ」)
家具を置いていない平面図だけでコンセントを決めないこと。
テレビ、ソファ、ベッド、机、冷蔵庫、掃除機、ロボット掃除機まで図面へ書き込んでから考えると、かなり現実的になります。
間取り確定前から候補を入れる
配線計画を後回しにすると、付けたい場所に窓がある、引き戸が走る、収納扉が開く、構造上使いにくいといった問題が出てきます。
照明も同じで、テーブルの位置が決まっていないのにペンダント照明の位置だけ決めてしまうと、完成後にテーブル中央からずれることがあります。
テレビを壁掛けにするなら、テレビの中心位置、コンセント、アンテナ端子、LANポート、配線を隠す方法まで同時に考えた方がきれいです。
我が家も、プランから本契約へ進むまで壁紙や設備と一緒にコンセントの位置を何度も確認しました。
実際の仕様決定がどのように進んだのかは、積水ハウスで本契約まで仕様を決めた実体験でも詳しく書いています。
家具配置図へ家電も書き込む
家具配置図へソファやダイニングテーブルだけを書くのではなく、電気を使うものをできる限り書き込んでみてください。
テレビ、ゲーム機、スピーカー、スマートフォン、タブレット、パソコン、プリンター、空気清浄機、加湿器、扇風機など、思った以上にたくさんあります。
そして忘れやすいのが、常設しない家電です。
掃除機、高圧洗浄機、ホットプレート、電気鍋、クリスマスツリー、雛人形用の照明、除湿機など、季節や場面によって登場する電気製品もあります。
こうした家電まで想像すると、「ここにも欲しいな」という場所が見えてきますよ。
上の写真は我が家の内装工事中の様子ですが、完成後には見えなくなる配線が天井裏を走っています。
だからこそ、「あとで考えればいい」ではなく、壁が閉じる前に決め切る意識が大切です。
コンセント計画で後悔しない
コンセントは多ければ自動的に便利になるわけではありません。
家具に隠れない位置、高さ、使用する家電、同時使用まで考えることで初めて価値が出てきます。
リビングは家具から逆算する
リビングのコンセント計画では、まずソファ、テレビ、ローテーブル、収納家具の位置を決めます。
テレビ周辺はテレビ本体だけでなく、レコーダー、ゲーム機、スピーカー、ストリーミング機器、ルーターなど、接続する機器が増えやすい場所です。
さらに、壁掛けテレビにするなら低い位置だけにコンセントを付けても、テレビからコードが垂れてしまう可能性があります。
反対にテレビ裏だけへ電源を集めると、床付近に置くゲーム機や周辺機器へ配線しにくくなることもあります。
テレビ周辺は電源・アンテナ・LAN・機器間配線を一つのセットとして考えた方が失敗しにくいです。
ソファ周辺では、スマートフォンやタブレットの充電、ノートパソコン、電気毛布、フロアライトなどを使う可能性があります。
壁から離してソファを置く予定なら、床面から電源を取る方法が選べる場合もあります。
ただし、床コンセントは家具配置を変えた際に邪魔になることもあるので、将来の模様替えまで想像して決めたいですね。
キッチンは同時使用を考える
注文住宅のコンセントで特に慎重に考えたいのがキッチンです。
冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、トースター、電気ケトル、コーヒーメーカー、ミキサー、フードプロセッサーなど、キッチンは電気製品の密集地帯。
しかも問題になるのは、家電の台数だけではなく同時に何を使うかです。
朝に炊飯器を使いながら電子レンジを動かし、お湯を沸かす生活なら、それを想定した回路計画が必要になります。
キッチンカウンターについても「今は使わないから不要」と決めるのは少しもったいないと思います。
ホットプレートを囲む、ブレンダーを使う、スマホを充電するなど、暮らし始めると意外な用途が出てきます。
冷蔵庫については本体寸法だけではなく、コンセントとプラグの位置、扉の開き方、放熱スペース、買い替え後のサイズも意識しておきたいところです。
洗面とランドリーも多用する
洗面室もコンセントが増えやすい場所です。
ドライヤー、ヘアアイロン、電動歯ブラシ、シェーバー、美容家電など、家族人数が増えるほど充電機器も増えていきます。
洗濯機周辺では洗濯機本体だけではなく、乾燥機、除湿機、サーキュレーターなどを使う可能性もあります。
さらに、可動棚の中で掃除機を充電したいなら、収納内部にも電源が必要です。
「収納は物を置く場所」とだけ考えず、「家電を収納しながら充電する場所」と考える。
これは今の注文住宅ではかなり重要だと思います。
寝室はベッド位置を先に決める
寝室では、ベッドの左右にスマートフォンを置く家庭が多いと思います。
そこで、ベッド幅とサイドテーブルの位置を決めずに左右対称でコンセントを配置すると、ベッドを置いたときに微妙に隠れることがあります。
ベッドのヘッドボードが高ければ、通常の低い位置にあるコンセントへ手を伸ばしにくくなる場合もあります。
照明、充電器、加湿器、空気清浄機を使うなら、それぞれどちら側へ置くかまで考えておくと便利です。
将来ベッドを二台へ分ける可能性があるなら、その状態も一度図面上で試してみましょう。
書斎は有線LANとセット
在宅勤務や動画編集、オンライン会議をするなら、書斎は電源とLANをまとめて考えたい場所です。
パソコン、ディスプレイ、スピーカー、外付けストレージ、充電器、プリンターなどを置くと、想像以上の数になります。
机の下だけにコンセントを配置すると、充電器を抜き差しするたびに潜り込むことになるかもしれません。
逆に机上の少し高い位置へ設ければ便利ですが、家具を変更した際にコンセントが丸見えになる可能性もあります。
固定家具なのか、市販デスクなのかでも正解は変わります。
玄関と屋外も忘れやすい
玄関では電動自転車のバッテリー、掃除機、靴乾燥機、季節の飾りなどで電源を使うことがあります。
シューズクロークへ電源を用意しておけば、充電式家電の置き場所として使えるケースもあります。
屋外では、高圧洗浄機、電動工具、イルミネーション、防犯カメラ、庭の照明などが候補です。
中庭やテラスを設ける家なら、外でホットプレートや扇風機を使いたくなることもあります。
外構工事の段階で「やっぱりここにも電源が欲しい」となると手間が増えるため、建物と外構を同時に見たいところです。
| 場所 | 想定したい機器 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| リビング | テレビ・ゲーム・充電・照明 | ソファ裏と壁掛けテレビ |
| キッチン | レンジ・炊飯器・ケトル | 複数家電の同時使用 |
| 洗面室 | ドライヤー・美容家電 | 家族の同時使用 |
| 収納 | 掃除機・工具・充電機器 | 収納内コンセント |
| 寝室 | スマホ・照明・加湿器 | ベッドで隠れる位置 |
| 書斎 | PC・モニター・周辺機器 | LANと電源のセット |
| 屋外 | 清掃・照明・防犯カメラ | 外構完成後の追加工事 |
スイッチ計画は動線で決める
注文住宅のスイッチで後悔しないためには、壁面の見た目だけではなく、人がどう動くかを想像することが重要です。
毎日何度も触るものなので、数十センチの違いでも暮らしやすさは変わります。
入室前に押せる位置へ置く
照明スイッチの基本は、その部屋へ入る流れの中で自然に手が届くことです。
ドアを開けてから暗い部屋へ一歩入り、振り返らないとスイッチへ届かない配置は、小さな不便を毎日繰り返すことになります。
引き戸の場合も、開いた扉によってスイッチが隠れないか確認してください。
玄関、廊下、階段など複数方向から出入りする場所では、一方向からしか操作できないと使いにくく感じることがあります。
間取り図を見る際は、あなた自身が図面の中を歩くつもりで「ここで手を伸ばす」と想像してみると分かりやすいです。
スイッチは集約すると美しい
注文住宅のスイッチをおしゃれに見せたいなら、製品デザインだけに目を向けない方がいいと思います。
スイッチ、インターホン、防犯設備、床暖房、空調、給湯器などの操作盤が壁のあちこちに散らばると、せっかくの美しい壁面がにぎやかになります。
我が家では、操作機器を一つの壁面にまとめている場所があります。
このようにまとめると、どこを操作すればいいのか家族にも分かりやすくなります。
一方で、すべてを一か所へ集めすぎると、その壁へ移動しなければ操作できないので、使用頻度とのバランスは必要です。
見せる壁と操作する壁を分ける
リビングへ入った瞬間に見える大きな壁は、できれば絵や家具を主役にしたいですよね。
そこで、操作盤を正面の壁から少し外し、廊下側や入口横へ寄せる方法があります。
注文住宅のスイッチをおしゃれに仕上げるというのは、格好いいスイッチを買うことだけではなく、視界へ入る機器そのものを減らす設計でもあります。
照明計画は明るさだけでない
注文住宅の照明計画では、「部屋全体が明るければOK」と考えると、完成後に少し物足りなく感じる可能性があります。
照明は必要な明るさを確保すると同時に、どこを照らし、どこを少し暗くするかまで考えると空間に奥行きが出ます。
ダウンライトは配置が重要
注文住宅では、天井をすっきり見せるためにダウンライトを採用するケースが多いですよね。
ただし、ダウンライトを均等に並べることが必ずしも使いやすいとは限りません。
テレビ画面へ光が映り込む、ソファに座ると真上の照明がまぶしい、壁面を照らしたかったのに床ばかり明るいといったことがあります。
ダウンライトは「何灯必要か」だけではなく、「どこを照らすための一灯なのか」を確認したいところです。
家具を置く位置が分かっていれば、ダウンライトも家具に合わせて配置できます。
つまり照明図だけを単独で見るのではなく、家具配置図を重ねて確認することが大切です。
ダクトレールは変更に対応しやすい
ダイニングテーブルの位置を将来変更する可能性があるなら、ダクトレールは便利な選択肢です。
照明器具の位置や数を調整できるため、固定された照明より家具変更へ対応しやすくなります。
スポットライトを使えば壁面や絵を照らすこともできます。
一方、レール自体が天井へ見えるため、何もない天井を好む人には合わない場合があります。
見た目を優先する場所なのか、将来の変更しやすさを優先する場所なのかで選ぶといいでしょう。
ペンダントは家具位置が命
ペンダントライトは照明器具そのものがインテリアになる反面、位置がずれると目立ちます。
ダイニングテーブルの中心と照明中心が合うように、テーブル寸法まで確定してから位置を決めたいですね。
我が家でも木質天井と照明の組み合わせはかなり意識しました。
「照明器具を付ける」ではなく、天井、家具、壁、窓と合わせて一つの景色として考えるイメージです。
キッチン照明は作業性も見る
キッチンは雰囲気だけでなく、包丁を使ったり食材の状態を確認したりする作業空間でもあります。
そのため、ペンダントライトだけでなく、手元へ必要な光が届くかも確認してください。
自分の体が照明と作業台の間に入ると、手元へ影が落ちることがあります。
照明は夜の状態で考える
ショールームを昼間に見ていると、窓から自然光が入るため照明の印象を正確につかみにくいことがあります。
可能なら夕方以降の展示場や完成物件も参考になります。
モデルハウスで間取りを見るときのポイントでも書いていますが、図面だけでは分からない距離感や光の見え方を実物で体感することには大きな意味があります。
LAN配線はWi-Fiだけに頼らない
注文住宅の配線計画で、これからさらに重要になるのがインターネット環境です。
スマートフォンだけならWi-Fiで十分でも、テレビ、パソコン、ゲーム機、レコーダー、防犯カメラ、スマート家電など、住宅内の通信機器は増えています。
そこで私がおすすめしたいのは、Wi-Fiと有線LANを競わせるのではなく、それぞれ得意な場所で使い分けることです。
ルーター置き場を先に決める
注文住宅でWi-Fi置き場を考えるとき、「収納の中へ隠せばすっきりする」と考えたくなります。
ただし、Wi-Fiルーターは電波を飛ばす機器なので、置き場所によって通信状態が変わります。
家の隅、床の近く、金属製収納の中などへ追い込むと、せっかく高性能なルーターを購入しても能力を生かしにくくなることがあります。
バッファローもWi-Fiルーターについて、家の中心付近や床から離れた場所を候補とし、水分を含む物や電子レンジ、金属製の棚などを避ける考え方を紹介しています。
ルーターを「見えない場所へ隠すこと」だけを優先しすぎないでください。
電源、光回線の入口、LAN配線、放熱、機器交換のしやすさ、電波の届き方をまとめて考える必要があります。
固定機器は有線LANが便利
テレビやデスクトップパソコン、据え置きゲーム機など、場所をほとんど動かさない機器については、有線LANを使える状態にしておくと選択肢が増えます。
Wi-Fiは便利ですが、家の構造、距離、周囲の電波、家具、使用機器などによって通信状態が変化します。
その点、有線LANポートを用意しておけば、必要な機器だけケーブルで接続できます。
「無線LANがあるからLANコンセントはいらない」と全部なくしてしまうより、テレビ周辺、書斎、各階の主要地点など、固定機器を使う場所へ配線しておく方が後悔しにくいかなと思います。
LANポートは机とテレビへ
注文住宅のLANポートを考えるなら、まず仕事机とテレビ周辺が候補になります。
オンライン会議をする書斎なら、パソコンへ直接有線LANを接続できるようにしておくと便利です。
テレビ周辺も、テレビ本体だけでなくゲーム機や録画機器などがネットワークへ接続する場合があります。
一つのLANポートだけで足りるか、それとも周辺機器を含めた接続方法を考えるかまで決めておくといいでしょう。
アクセスポイントも想定する
大きな家や二階建てでは、ルーター一台ですべての部屋を快適にカバーできるとは限りません。
そこで、将来Wi-FiのアクセスポイントやメッシュWi-Fiを追加することも想定しておくと安心です。
その場合、追加機器をどこへ置くのか、そこまで有線LANを持っていけるのか、電源をどうするのかがポイントになります。
「通信が悪かったら中継機を買えばいい」と考えるだけでなく、注文住宅だからこそ建築時に配線ルートを用意しておく価値があります。
空配管で将来変更しやすくする
LANケーブルの規格や通信機器は、住宅そのものより早く変化します。
そこで役立つのが、将来ケーブルを交換したり追加したりするための空配管です。
壁の中へLANケーブルを直接固定して終わりにすると、将来新しいケーブルへ交換したくなった際に難しくなる場合があります。
一方で、配管ルートが確保されていれば、完成後の選択肢を残しやすくなります。
大切なのは「今どのLANケーブルが最高か」だけではなく、「将来ケーブルを入れ替えられるか」という視点です。
情報分電盤の場所も確認する
光回線の入口、ルーター、LAN配線の起点をどこへ集めるかも決めておきたいポイントです。
収納内部へ設置する場合でも、機器を交換できるスペース、電源、配線の曲げ、熱がこもりにくい環境などを見ておきたいですね。
インターネット回線を契約してから初めて置き場所を考えるのではなく、住宅設計中から「ここが通信の中心」と決めておくと話が早くなります。
| 場所 | 配線候補 | 想定用途 |
|---|---|---|
| テレビ周辺 | 有線LAN | テレビ・ゲーム・録画機器 |
| 書斎 | 有線LAN | PC・オンライン会議 |
| 各階中央付近 | LANと電源 | Wi-Fi機器の追加 |
| 情報機器収納 | 光回線・LAN・電源 | ルーターや通信機器 |
| 将来使用する部屋 | 空配管 | 通信規格変更への対応 |
専用回路と屋外電源も考える
コンセントの位置を考えるときは、見えている差込口だけではなく、その奥にある電気回路も重要です。
特に消費電力の大きな家電を使う場所では、採用予定の機器を早めに決めて電気図へ反映しておきたいですね。
大型家電は機種まで想定する
エアコン、電子レンジ、食器洗い乾燥機、衣類乾燥機などは、機種によって必要な電源条件が異なります。
そのため、「エアコン用コンセントを付けたから大丈夫」という確認だけでは足りない場合があります。
どの程度の容量の機器を設置する予定なのか、電源方式や専用回路がどうなっているのかまで電気図と設備仕様を照らしておくと安心です。
将来大きなエアコンへ交換する可能性がある部屋についても、後の変更を想定しておくと選びやすくなります。
屋外設備も家電として考える
注文住宅では、屋外にも電気を使う設備がどんどん増えています。
防犯カメラ、宅配設備、門灯、植栽照明、電動シャッター、電気自動車関連設備などです。
これらは建物本体と外構の境目に配置されることが多く、建築会社と外構会社の間で話が抜けると困るところでもあります。
カメラを後付けすると、せっかく外観をすっきり仕上げたのに露出配線が目立つことがあります。
採用する可能性がある設備は、実際に設置するか未定でも設計中に一度候補へ挙げておくといいでしょう。
将来の電気自動車も想像する
今はガソリン車しか所有していなくても、住宅より車の方が短い周期で買い替えることが一般的です。
そのため、将来電気自動車や充電設備を導入する可能性があるなら、駐車位置から建物までの配線ルートを考えておく価値があります。
「使うことになったら工事する」でも構いませんが、その際にコンクリートを壊したり外壁へ露出配管を付けたりする必要が出るかどうかは、新築時に確認しておきたいですね。
将来使うか分からない設備は、機器そのものを先に買う必要はありません。
後から工事しやすい配管や配線ルートだけ残す方法もあるので、「今付けるか」「将来に備えるか」を分けて考えると予算調整もしやすくなります。
図面は生活場面ごとに確認する
配線計画を完成させるときは、一度に全部を見るより、生活場面ごとに図面を見る方が抜けを発見しやすいです。
私なら「朝起きる」「料理する」「掃除する」「仕事する」「帰宅する」「寝る」という一日の流れを追います。
朝起きてから家を歩いてみる
まずベッドの横でスマートフォンを充電します。
寝室を出るときに照明を消し、廊下を通り、洗面台でドライヤーや美容家電を使う。
キッチンでは炊飯器、電子レンジ、トースターなどを動かします。
ここまで頭の中で歩くだけでも、コンセントとスイッチの必要場所がかなり見えてきます。
掃除する場面を試す
掃除は配線計画との相性が非常に大きいです。
コード式掃除機なら、どのコンセントからどこまで届くか。
充電式掃除機なら、収納しながらどこで充電するか。
ロボット掃除機なら、本体が戻る場所へコンセントが必要です。
ロボット掃除機の基地を階段下などへ隠すなら、本体が出入りできる開口寸法まで関係してきます。
家具の高さまで図面で見る
コンセント位置を平面図だけで確認すると、高さの失敗に気づきにくくなります。
テレビボード、ベッド、デスク、カップボード、収納棚などは高さがあります。
そのため、可能なら展開図や室内パースでもコンセントとスイッチ位置を確認したいですね。
「床から何センチ」という数字だけで判断するより、家具との位置関係を見る方がイメージできます。
建具との干渉も見る
引き戸の戸袋部分には、設備を自由に付けられないことがあります。
開き戸の場合も、扉を開けた裏へスイッチが隠れてしまう配置には注意が必要です。
収納扉、カーテン、ロールスクリーン、冷蔵庫の扉なども電気設備へ干渉する可能性があります。
間取りだけを見るのではなく、扉をすべて開いた状態まで想像してみてください。
施工中の現場でも確認する
電気図が完成しても、それで配線計画が完全終了とは限りません。
可能であれば壁や天井が仕上がる前の段階で、実際の位置を見る機会があると分かりやすいです。
図面と実空間は感覚が違う
我が家では大工工事中に、実際の空間を見ながらコンセントや照明位置を確認する機会がありました。
図面では問題なく見えても、現場に立つと「あれ、思ったよりこっちの方が使いやすそうだな」と感じることがあります。
このときの実際の電気配線工事については、積水ハウス建築日記の電気配線と床下地工事で現場写真とともに紹介しています。
壁を閉じる前が大切
石こうボードやクロスが施工されたあとでは、コンセントボックスや配線ルートは見えなくなります。
そのため、施工途中で確認できる機会があれば写真を残しておくのがおすすめです。
将来、棚を付けたり設備を交換したりするときに、壁の中がどうなっていたか分かる写真が役立つ場合があります。
我が家では断熱材が入った段階でもコンセントや照明位置を確認しました。
その現場の様子は、照明とコンセント位置を現場確認した建築日記でも見ることができます。
変更内容は最新版で確認する
注文住宅では、打ち合わせのたびに図面が更新されます。
そこで怖いのが、「変更をお願いしたつもりだったのに古い図面へ戻っている」という認識違いです。
コンセント、スイッチ、照明、LANについて変更したら、次の図面で実際に反映されたことまで見てください。
口頭で話して終わりにせず、最新版の電気図へ載っているかを見るのが確実です。
配線で優先したい順番
予算が十分にあれば希望をすべて入れられますが、注文住宅では電気関係だけに予算を使えるわけではありません。
そこで私は、「完成後に変更しにくいもの」から優先する考え方が分かりやすいと思っています。
壁の中へ入るものを優先する
LAN配管、専用回路、屋外への配線、壁掛けテレビの配線、将来設備用の配管などは、完成後の変更で壁や天井へ影響しやすい部分です。
一方、スタンドライトやテーブルライトなどは入居後でも購入できます。
照明器具そのものを豪華にする前に、必要な電源と配線ルートへ予算を配る考え方もあります。
毎日使う場所を優先する
キッチン、洗面、寝室、リビング、書斎など、毎日何度も使う場所のコンセント不足はストレスになりやすいです。
反対に年に数回しか使わない場所なら、多少離れたコンセントから電源を取っても大きな不満にならないことがあります。
使用頻度を考えるだけで、必要な場所と念のため付ける場所を分けやすくなります。
延長コード前提にしない
延長コードは便利ですが、新築の設計段階から延長コードを常用する前提にする必要はないと思います。
通路をコードが横切れば見た目も悪く、足を引っ掛ける原因にもなります。
家具の裏へ電源タップを詰め込めば、掃除もしにくくなります。
新築時に使う場所が分かっているなら、できるだけその近くから直接電源を取れる設計を目指す。
これが注文住宅で自由に配線できるメリットです。
配線計画の優先順位は「後から変えにくい」「毎日使う」「配線を見せたくない」の三つから考えると決めやすくなります。
豪華な照明器具は後から買えても、壁の中の配線を変える工事は簡単ではありません。
注文住宅の配線に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 注文住宅のコンセントはいくつ必要?
A. 部屋ごとの個数だけで決めるのではなく、家具と家電を置いた状態から必要数を決めるのがおすすめです。
リビングならテレビ周辺、ソファ周辺、掃除用、季節家電用など使用目的が異なります。
キッチンでは家電の数だけでなく同時使用も考える必要があるため、最初に家電一覧を作って電気図へ当てはめると分かりやすいです。
Q2. Wi-Fiルーターはどこへ置く?
A. 家の隅や金属製収納の奥へ隠すことだけを優先せず、家全体へ電波が届きやすく、機器交換もしやすい場所を候補にします。
光回線の入口、電源、有線LANの起点も必要なので、注文住宅では設計時からルーター置き場を決めておくとスムーズです。
大きな家では一台ですべてを賄う前提にせず、追加のアクセスポイントを置く可能性も考えてLAN配線を用意しておくと選択肢が増えます。
Q3. 注文住宅に有線LANは必要?
A. Wi-Fiがあっても、テレビ、デスクトップパソコン、ゲーム機など固定して使う機器には有線LANを選べる状態を残しておく価値があります。
すべての部屋へ大量のLANポートを設ける必要はありませんが、書斎、テレビ周辺、通信機器の設置候補地は検討しておきたいところです。
さらに空配管があれば、将来LANケーブルを変更するときの自由度も高めやすくなります。
Q4. ダウンライトとダクトレールはどっちがいい?
A. 天井をすっきり見せたいならダウンライト、家具配置や照明位置を将来変更する可能性があるならダクトレールが使いやすい傾向があります。
どちらが上という話ではなく、照明器具を固定したい場所なのか、後から動かしたい場所なのかで選びます。
ダイニングテーブルの位置がまだ決まり切っていない場合は、照明位置を動かせる方法も候補にするといいでしょう。
Q5. LAN用の空配管は必要?
A. 長く住む注文住宅なら、将来の通信環境を変更しやすくする方法として検討する価値があります。
住宅は何十年と使いますが、通信規格やネットワーク機器はその間に何度も変わる可能性があります。
今使うケーブルだけで住宅寿命すべてを想定するより、必要に応じて中身を更新できる経路を残すという考え方です。
配線計画は暮らしから逆算する
注文住宅のコンセント・照明・LAN配線は、カタログから設備を選ぶだけでは決まりません。
一番大切なのは、完成した家の中で家族がどのように動き、どこで何を使うのかを想像することです。
ソファへ座ってスマートフォンを充電する。
キッチンで複数の調理家電を使う。
収納の中で掃除機を充電する。
書斎でパソコンを有線LANへつなぐ。
庭で高圧洗浄機を使う。
夜になったらダウンライトを落とし、ペンダントライトや間接照明で過ごす。
そこまで具体的に想像すると、必要なコンセント、スイッチ、照明、LANポートの場所は自然に見えてきます。
そして、ルーター置き場、空配管、有線LAN、屋外電源、専用回路のように完成後に変更すると工事が大きくなりやすい部分ほど、間取り確定前から検討しておくことをおすすめします。
私自身、積水ハウスで家を建てて感じたのは、家の満足度を左右するのは大開口や高級な素材だけではないということでした。
毎日何気なく押すスイッチや、スマートフォンを挿すコンセントの方が、暮らしの中ではずっと頻繁に使います。
配線は完成すると目立ちません。
でも、目立たないからこそ、きちんと考えた家とそうでない家では暮らし始めてから差が出る部分です。
あなたも電気図を受け取ったら、記号の数を数えるだけで終わらせず、図面の中を朝から夜まで一度歩いてみてください。
「ここでスマホを充電するな」「ここで掃除機を使うな」「ここでパソコンを使うな」と考えるだけでも、かなり多くの発見があるはずです。
積水ハウスを検討中で、間取りや設備、コンセント、照明などを含めて良い担当チームと家づくりを始めたい方は、すまつなからご相談いただけます。
私自身が積水ハウスで建てて暮らしている施主として、家づくりの入口からサポートしています。





