こんにちは。
住まいをつなぐ|積水ハウス紹介サポート「すまつな」運営者の北川晴夫です。
都市部で理想のマイホームを建てようと考えたとき、限られた土地を最大限に活かす選択肢として「ヘーベルハウス」は間違いなく強力な候補の一つです。
「都市型住宅」といえばヘーベルハウス、というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、インターネットで検索してみると「ヘーベルハウスは狭い」というキーワードが目につきます。
「頑丈なのは分かるけど、壁が厚い分、家の中が狭くなるのでは?」
「無機質なデザインが、余計に圧迫感を感じさせるのではないか?」
そんな不安を感じて、二の足を踏んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
何を隠そう、私自身も家づくりの当初は、その堅牢なイメージから「ヘーベルハウスもいいな」と頭の片隅でちょこっと検討していました。
あの無骨で強そうな外観と、屋上をフル活用する提案には、男心をくすぐる魅力を感じたものです。
しかし、最終的に私は積水ハウスを選びました。
その決断の裏には、カタログスペックを深掘りする中で見えてきた「壁の厚さと居住性の関係」、そして「同じ坪数でも広く感じる設計の魔法」への気づきがありました。
この記事では、積水ハウスオーナーである私が、施主としての視点と徹底的な情報収集を元に、ヘーベルハウスの「狭さ」の正体と、それを克服するための具体的な視点を包み隠さずお話しします。
記事のポイント
- ヘーベルハウスの「壁の厚さ」が居住空間に与える影響とその対策
- 「CMのイメージ」と「実際の狭小住宅」のギャップを埋めるポイント
- 積水ハウスの「メーターモジュール」と比較して分かった、階段や廊下の広さの重要性
- 3階建てや「そらのま」を活用して、狭い土地でも開放的に暮らすためのテクニック
ヘーベルハウスは狭い?壁厚と居住性の真実
「ヘーベルハウスは狭い」
この噂の真偽を確かめるためには、まずヘーベルハウスの構造的な特徴を深く理解する必要があります。
結論から申し上げますと、ヘーベルハウスの構造壁は、一般的な木造住宅に比べて物理的に厚みがあることは事実です。
これは決して悪いことではありません。
あの分厚いALCコンクリート「ヘーベル」と、内側の断熱材、そして強靭な鉄骨躯体が、都市の騒音や火災から家族を守ってくれる「要塞」のような安心感を生み出しているからです。
しかし、限られた敷地面積、特に10坪〜15坪といった狭小地においては、その数センチの壁厚が室内の有効面積(実際に使える広さ)をじわじわと圧迫してしまうこともまた、否定できない事実なのです。
ここでは、住宅構造の比較や一般的な設計理論をもとに、その「狭さ」の実態に迫ります。
印象的なCMのイメージと現実の狭い家
テレビCMで流れるヘーベルハウスの映像は、本当に魅力的ですよね。
「狭小地でも3階建て」「屋上でバーベキュー」「空とつながるアウトドアリビング」
あの映像を見ていると、「こんな狭い土地でも、アイデア次第であんなに広々と、豊かに暮らせるんだ!」と夢が膨らみます。
しかし、ここで冷静になる必要があります。
CMやカタログの写真は、プロのカメラマンが広角レンズを使って撮影し、家具も空間が広く見えるように厳選されたものを配置している、いわば「最高の状態」を切り取ったものです。
実際には、限られた坪数の狭小住宅に生活に必要な家具を配置すると、想像以上に空間は埋まってしまうものです。
特に盲点になりがちなのが、家具が入った状態での「通路」の幅です。
ダイニングテーブルの横を通るとき、ソファとテレビの間を通るとき、図面上では通れそうに見えても、実際にはカニ歩きまではいかなくとも、少し体を斜めにしないと通れない…なんてケースは多々あります。
「洗濯カゴを持ってスムーズに通れるか?」
「買い物袋を両手に提げて階段を上がれるか?」
こうした日常の動作がストレスなく行えるかどうかは、CMのイメージからは読み取れないリアルな課題です。
◆北川のワンポイントアドバイス
私も家づくりの初期段階で、あらゆるメーカーのCMやカタログイメージに心を踊らせていました。
でも、実際に重要なのは「自分たちの生活道具が入った状態で、人がどう動けるか」というリアルなシミュレーションです。
特に狭小地では、数センチの差が毎日のストレスに直結します。
「CMのような広々とした空間」を鵜呑みにせず、必ずメジャーを持って展示場に行き、実際の距離感を測りまくることが、後悔しない家づくりの第一歩ですよ。
「このソファと壁の間は〇〇cmあるから通れるね」といった確認作業が、入居後の「狭い!」を防ぎます。
10坪の極小地で直面する広さの限界
都心部では、敷地面積が10坪~15坪といった「極小地」での建築も珍しくありません。
地価が高いエリアでは、土地の購入費用だけで予算の大半を使ってしまい、広い土地を確保するのは至難の業です。
こうした土地でヘーベルハウスを検討する場合、最も大きな課題となるのが「壁の厚み」による室内有効寸法の減少です。
建築用語で、部屋の広さを表す基準には「壁芯(へきしん)」と「内法(うちのり)」の2つがあります。
壁芯(へきしん)と内法(うちのり)の違い
- 壁芯面積: 壁や柱の中心線で囲まれた面積。図面や広告で使われる「〇〇㎡」や「〇〇帖」は基本的にこちらです。
- 内法面積: 壁の内側の、実際に目に見える床の面積。家具を置いたり、人が動いたりできる「本当の広さ」です。
ヘーベルハウスの壁は、構造躯体(鉄骨)の外側に厚さ75mm(商品により異なる場合があります)のALCコンクリートパネルを取り付け、さらに内側には断熱材や内装下地が入る多層構造になっています。
これにより、壁全体の厚みは木造住宅に比べてかなり厚くなります。
壁芯面積が同じ6帖の部屋でも、壁が厚い分、内法面積は狭くなってしまうのです。
例えば、10坪(約33㎡)の建築面積で、壁厚の影響で四方の壁がそれぞれ5cmずつ内側に迫り出してくると想像してみてください。
単純計算でも、部屋の有効幅は10cm狭くなります。
「たかが10cm」と思われるかもしれませんが、狭小住宅における10cmは致命的です。
ダブルベッドが置けるか置けないか、収納棚の扉が開くか開かないか、その境界線になり得るのです。
【ここが注意点】有効面積の減少
図面上では「6帖」と書かれていても、実際には「5.5帖相当」の有効スペースしかない、ということが鉄骨造では起こり得ます。
ベッドや学習机、冷蔵庫など、サイズの決まっている大型家具を配置する予定がある場合は、必ず設計士さんに「有効寸法(内法寸法)」を確認してください。
「図面では入るはずだったのに、巾木(はばき)の厚みの分で入らなかった!」という失敗は、狭小住宅あるあるです。
3階建て軽量鉄骨とヘーベルの構造比較
狭小地での解決策として選ばれることが多いのが「3階建て」です。
土地が狭ければ、縦に積むしかありません。
ヘーベルハウスでは、2階建てまでは「軽量鉄骨造」も採用されますが、3階建て以上になると、より強固な「重量鉄骨造(システムラーメン構造)」が主流となります。
ここで比較検討したいのが、私が選んだ積水ハウスの「ベータ(β)システム構法」などの重量鉄骨造です。
どちらも高層ビルに使われるような太い鉄骨の柱と梁で建物を支える構造ですが、設計の自由度や「柱の存在感」には違いがあります。
ヘーベルハウスの重鉄・システムラーメン構造は、柱と梁をガッチリと剛接合することで、筋交い(ブレース)や耐力壁を不要にする「無柱空間」を売りにしています。
これにより、リビングの中に邪魔な壁がない大空間を作ることが可能です。
しかし、注意が必要なのは「柱型(はしらがた)」です。
重量鉄骨の柱は非常に太く、壁の中に収まりきらない場合があります。
その結果、部屋の四隅や壁の一部に、柱の形をした出っ張りが生じることがあるのです。
この出っ張りは、家具の配置を制限し、視覚的なノイズとなって部屋を狭く感じさせる要因になります。
| 比較項目 | ヘーベルハウス(重鉄) | 積水ハウス(βシステム) |
|---|---|---|
| 構造の柱位置 | 比較的自由だが、室内に柱型(出っ張り)が出やすい場合がある。 | 通し柱不要で、柱位置の自由度が極めて高い。コーナーサッシ等も可能。 |
| 壁の厚み | ALCの厚み(75mm等)があり、断熱層と合わせて壁厚は大きくなる傾向。 | 外壁パネルの種類(ダインコンクリート等)によるが、内法寸法への配慮設計が得意。 |
| 耐火性能 | 圧倒的。ALCコンクリート自体が耐火構造であり、都市部の防火地域に強い。(出典:旭化成ホームズ公式サイト「火に強い」) | 外壁や構造体の耐火被覆により十分な耐火性能を確保。 |
| 空間の可変性 | 構造躯体と内装が分離されているため、将来的なリフォームはしやすい。 | 間仕切り壁の移動が容易で、ライフスタイルの変化に対応する可変性が高い。 |
「頑丈さ」や「火への強さ」という点では、ヘーベルハウスは間違いなくトップクラスです。
しかし、限られた狭小地で「いかに柱や壁の存在感を消して広く見せるか」「数センチでも広く使うか」という点においては、積水ハウスのβシステム構法の方が、柱の位置を自由にずらせるなど、設計の小回りが利くと感じたのが正直なところです。
狭い土地での圧迫感を解消する階段の技
3階建ての狭小住宅において、生活動線の要となるのが「階段」です。
1階の水回りから2階のリビング、3階の寝室へと、毎日何度も上り下りすることになります。
この階段が狭くて急だと、それだけで生活の質が下がり、「家全体が窮屈だ」という印象を植え付けてしまいます。
ヘーベルハウスでも様々な階段形状が選べますが、ここで私が積水ハウスを選んで本当に良かった、と毎日実感している決定的な違いがあります。
それが「メーターモジュール」の採用です。
日本の住宅の多くは、尺貫法に基づく「尺モジュール(910mmグリッド)」で設計されています。
ヘーベルハウスも基本的にはこの尺モジュールを採用しているケースが多いです(※設計対応により異なる場合があります)。
尺モジュールの場合、廊下や階段の有効幅(手すり等の出っ張りを除いた幅)は、約78cm程度になります。
一方、積水ハウスをはじめとする一部のメーカーが採用しているのが「メーターモジュール(1000mmグリッド)」です。
これにより、廊下や階段の有効幅は約85cm以上を確保できます。
「たかが7cm、されど7cm」です。
この差は、実際に住んでみると劇的です。
- 両手に荷物を持って階段を上がるとき: 尺モジュールだと壁に荷物が当たりそうになりますが、メーターモジュールなら余裕です。
- 子供と手を繋いで歩くとき: 横並びで歩けるか、縦一列にならないといけないかの違いが出ます。
- 将来の手すり設置: 両側に手すりをつけても、十分な通行幅を確保できます。
狭い家だからこそ、移動空間である階段や廊下にゆとりを持たせることが、家全体の圧迫感を軽減するカギとなります。
「狭い土地に建てるんだから、廊下なんて狭くていい」と考えがちですが、毎日の動線がスムーズであることの快適さは、何物にも代えがたいものです。
積水ハウスの設計に関する詳細な考察や、実際の窓の配置による開放感の演出については、積水ハウスの窓は外から見えない?オーナーが語る設計の答えでも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
2階建てと3階建ての空間効率を比較
「土地が狭いから、3階建てにするしかない」と、安易に決めてしまっていませんか?
確かに3階建てにすれば延床面積は増やせますが、同時に「失うもの」もあります。
3階建てにする最大のデメリットは、「階段と廊下で面積が食われる」ことです。
1階から3階までをつなぐ階段室、そして各部屋につなぐ廊下。
これらは単なる移動スペースであり、居住スペースではありません。
無理に3階建てにした結果、「建築コストは大幅に上がったのに、実際にくつろげるリビングや部屋の広さは2階建てプランとあまり変わらなかった」というケースも少なくありません。
特にヘーベルハウスのような重量鉄骨造で3階建てにする場合、構造計算上の制約が厳しくなり、コストアップも大きくなります。
また、地盤改良費も高額になる傾向があります。
【設計のヒント】「高さ」で広さを稼ぐ
場合によっては、2階建て+ロフト(小屋裏収納)や、スキップフロアを活用した空間設計の方が、コストパフォーマンス良く、広がりを感じられる家になることもあります。
物理的な床面積を広げることには限界がありますが、「視線の抜け」を作ることは可能です。
吹き抜け、ハイドア(天井まであるドア)、天井いっぱいの大開口サッシなどを用いて、視線を「縦」や「外」に逃がすことで、実際の坪数以上の広がりを感じることができます。
ヘーベルハウスも「クロスフロア」といったスキップフロアの提案を持っていますが、もし2階建てでギリギリ収まるのであれば、無理に3階建てにせず、天井高を上げるなどの工夫で開放感を出すプランも検討してみる価値は大いにあります。
ヘーベルハウスの狭い空間を攻略する設計
ここまで「狭さ」の要因について、少し厳しい現実も触れてきましたが、誤解しないでいただきたいのは、私はヘーベルハウスを否定しているわけではありません。
むしろ、都市部の過酷な環境において、これほど頼りになる住宅はないとも思っています。
重要なのは、そのデメリットを理解した上で、ヘーベルハウスの持つ「技術力」と「設計提案力」をフル活用して、狭さを克服することです。
ここからは、狭小地でも諦めない、具体的な攻略法を見ていきましょう。
35坪の家で実現する開放的な生活空間
都市部で30坪~35坪の土地があれば、工夫次第でかなり豊かな空間が作れます。
ヘーベルハウスが得意とする必殺技、それが「そらのま」や屋上利用による外部空間の取り込みです。
狭小地では、1階に広い庭を確保することは物理的に不可能です。
隣家の壁が目の前に迫り、日当たりも望めないことが多いでしょう。
そこで、生活のメインステージを2階に上げ、リビングの床とフラットに繋がるバルコニー(そらのま)を作るのです。
「部屋を削ってバルコニーにするなんて、余計狭くなるじゃないか!」と思われるかもしれません。
しかし、これは逆転の発想です。
壁に囲まれた半屋外空間を作ることで、以下のようなメリットが生まれます。
- 視覚的な拡張: リビングの窓を全開にすれば、バルコニーまでがひとつの大空間として認識され、実際の畳数以上に広く感じます。
- プライバシーの確保: 壁やルーバーで囲われているため、道路や隣家からの視線を気にせずカーテンを開け放てます。
- 光と風の獲得: 建物が密集していても、「上空」は開いています。そらのまを通じて空からの光(スカイライト)を室内に導くことができます。
一方、私が選んだ積水ハウスでは、「クリアビューデザイン」や「フルフラットサッシ」を用いて、庭やテラスと室内をシームレスに繋ぐ手法を得意としています。
どちらも「外を取り込む」という思想は同じですが、ヘーベルは「壁で囲って空へ抜く(プライバシー重視)」、積水ハウスは「庭と一体化して横へ抜く(開放感重視)」というニュアンスの違いがあります。
自分の敷地環境や好みに合わせて、どちらのアプローチが適しているか検討してみてください。
3階建ての間取りで失敗しないための鉄則
3階建ての間取りを考える際、絶対に避けるべきなのは「細切れの部屋を量産すること」です。
ただでさえワンフロアの面積が小さいのに、壁で仕切って廊下を作ってしまうと、迷路のような狭苦しい家になってしまいます。
失敗しないための鉄則は、LDKをワンフロアに集約し、できるだけ間仕切りをなくすことです。
ここでこそ、ヘーベルハウスの重鉄・システムラーメン構造や、積水ハウスの「フレキシブルβシステム」の真価が発揮されます。
例えば、2階フロア全体をLDKにし、階段室との仕切りもガラスやスケルトン階段にする。
水回りも2階に集約するなら、家事動線もスムーズになります。
柱や壁のない大空間LDKを実現することで、3階建て特有の縦移動のストレスを、家族が集まる「広場」のような快適さでカバーするのです。
また、個室が必要な3階部分でも、将来的に間仕切りができるような可変性のある設計にしておき、子供が小さいうちは大きなワンルームとして使う、といった工夫も有効です。
構造躯体が強固だからこそ、内装の壁を減らしても耐震性が揺るがない。
これが鉄骨造の最大の強みです。
間取りシミュレーションで広さを確認
「よし、LDKを20畳確保できた!これで広々暮らせるぞ!」
図面を見てそう確信していても、いざ完成してみたら「あれ? 思ったより狭いな……」と後悔する。
これは狭小住宅において最も起こりうる悲劇です。
なぜこのようなギャップが生まれるのでしょうか?
その最大の原因は、2次元の図面(紙)では「高さ方向の圧迫感」や「家具を置いた後の実際の通路幅」を脳内で正確に補完することが極めて難しいからです。
特にヘーベルハウスのように壁が厚い構造の場合、図面上の線(壁芯)と実際の内壁の位置(内法)のズレが、感覚的な広さに大きく影響します。
失敗しないために絶対にやるべきこと。
それは、各ハウスメーカーが提供している3DシミュレーションやVR(バーチャル・リアリティ)体験を徹底的に活用することです。
そして、単に何もない部屋を見るのではなく、「自分たちが使う予定の家具を配置した状態」でシミュレーションを行うことが不可欠です。
◆北川のワンポイントアドバイス
私が積水ハウスで打ち合わせをした際、設計士の富田さんが見せてくれた「life knit design」のシミュレーションは衝撃的でした。
「ここに幅2メートルのソファを置くと、バルコニーへの動線はこれくらいになりますね」
「キッチンで奥様が料理をしている後ろを、ご主人が通るときの距離感はこれくらいです」
このように、生活のリアルなシーンをモニターの中で完璧に再現してくれたのです。
「あ、これだとちょっと窮屈かも……」という気付きが、着工前に得られる。これこそがシミュレーションの価値です。
ヘーベルハウスを検討する際も、遠慮せずに「家具を入れた状態でのリアルな視点が見たい」と担当者にリクエストしてください。
ここを面倒くさがらずに対応してくれるかどうかが、良い営業マンを見極める試金石にもなります。
また、シミュレーションだけでなく、モデルハウスでの「実測」も併せて行ってください。
「1帖=910mm×1820mm」という畳のサイズ感覚だけで考えていると、実際の廊下幅やトイレの広さで失敗します。
特にトイレや洗面所といった狭い空間こそ、壁厚の影響をモロに受けます。
「座った時に膝がドアに当たらないか」「洗濯機の横に収納ボックスを置く隙間はあるか」。
メジャーを持って展示場のトイレに座り込み、その距離感を体に叩き込んでください。
少し怪しい人に見えるかもしれませんが、一生の買い物の前では恥じらっている場合ではありません(笑)。
狭小住宅実例から学ぶ空間活用の正解
成功している狭小住宅の実例には、共通する「空間活用の正解」があります。
それは、限られた床面積の中からデッドスペース(死に体となる空間)を徹底的に排除し、1つの場所に複数の機能を持たせることです。
私が多くの実例を見て回り、そして実際に自宅を建てる中で学んだ、狭さを攻略するための具体的なテクニックをいくつかご紹介します。
1. 廊下を「ゼロ」にする間取り
狭小住宅において、廊下は贅沢品……いや、「無駄」と言っても過言ではありません。
廊下を作るくらいなら、その分を部屋の広さに回すべきです。
例えば、玄関ホールを設けずに、玄関ドアを開けたらすぐにリビング(あるいは土間リビング)というスタイルにする。
階段を上がったら、廊下を経由せずに直接LDKに入る配置にする。
これだけで、1坪〜2坪分の面積を有効活用できます。
ヘーベルハウスのような高気密・高断熱な住宅(※断熱性能は仕様によります)であれば、玄関とリビングがつながっていても、冬場の寒さをある程度抑えることが可能です。
2. キャンチレバー(跳ね出し)で空中権を制する
これこそが、ヘーベルハウス(重量鉄骨造)を選ぶ最大のメリットと言えるかもしれません。
「キャンチレバー」とは、建物の2階や3階部分を、1階よりも外側に張り出させる技術です。
木造住宅でも多少の張り出しは可能ですが、鉄骨造の強靭な梁を使えば、さらにダイナミックに空間を張り出させることができます。
例えば、1階部分は駐車場として確保し、その上空(2階・3階)を目一杯張り出して居室にする。
これにより、敷地面積以上の居住空間を生み出すことが可能になります。
都市部の狭い敷地では、この「空中に部屋を作る」技術が、広さを確保するための最強の武器となります。
| 項目 | 一般的な木造 | ヘーベルハウス(重鉄) |
|---|---|---|
| 跳ね出し幅 | 構造的に数十cm程度が限界の場合が多い | 数メートル単位の大胆な張り出しが可能(※プランによる) |
| 用途 | ちょっとしたバルコニー程度 | しっかりとした居室や広いベランダとして利用可能 |
| メリット | コストは安い | 敷地有効率が劇的に向上し、駐車場上に部屋を作れる |
(出典:旭化成ホームズ公式サイト「重量鉄骨の邸宅」)
3. 壁厚を利用した「ニッチ収納」
ヘーベルハウスの「壁が厚い」というデメリットを、逆手にとるアイデアです。
壁が厚いということは、その壁の中にある程度の深さがあるということ。
構造に影響しない範囲で壁を凹ませれば、そこに「ニッチ(飾り棚)」や「埋め込み収納」を作ることができます。
トイレットペーパー置き場、スイッチ類をまとめるリモコンニッチ、お気に入りの雑貨を飾るスペース。
これらを壁の中に埋め込んでしまえば、家具を置く必要がなくなり、通路や部屋を広く使うことができます。
坪単価と総額から見る価格の妥当性
さて、ここからは避けては通れない「お金」の話です。
「ヘーベルハウスで狭小住宅を建てる場合、価格はどうなるのか?」
結論から申し上げますと、坪単価は高くなる傾向にあります。
一般的に、家の坪単価は「延床面積が小さくなればなるほど、割高になる」という性質を持っています。
なぜなら、キッチン、バス、トイレといった高額な住宅設備の費用は、家の大きさに関わらず一定だからです。
30坪の家でも60坪の家でも、お風呂が一つならその費用は同じ。
それを床面積で割るわけですから、面積が小さい方が坪当たりの単価は跳ね上がります。
さらに、狭小地特有の「施工コスト」も加わります。
重機が入らない場所での手作業による運搬(小運搬)、隣家への養生、交通整理員の配置など、広くて平らな土地に建てる場合に比べて、どうしても余分な費用がかかってしまうのです。
具体的な目安として、ヘーベルハウスの3階建て狭小住宅の場合、仕様にもよりますが建物本体価格だけでも坪100万円〜130万円程度は見ておく必要があります。
さらに、付帯工事や諸費用を含めた総額ベースでは、坪150万円〜160万円を超えることも決して珍しくありません。
「土地が狭いから建物代は安く済むだろう」と甘く見ていると、見積もりを見て腰を抜かすことになります。
【それでも選ばれる理由:ライフサイクルコスト】
初期費用(イニシャルコスト)だけを見れば、確かに高額です。
しかし、家は建てて終わりではありません。
ヘーベルハウスの外壁塗装「ロングライフコート」などは、長期間メンテナンスが不要と言われています。
一般的な住宅が10年〜15年ごとに100万円以上の塗り替え費用がかかるのに対し、そのランニングコストを大幅に抑えられる可能性があります。
また、将来もし売却することになった場合でも、「ヘーベルハウス」というブランドと堅牢な躯体は、中古市場でも高く評価されやすい(資産価値が落ちにくい)という側面もあります。
「高いから諦める」のではなく、「高いけれど、60年間の総費用で見ればトントン、あるいはプラスになるかもしれない」。
そういった長期的な視点(ライフサイクルコスト)で価格を捉え直すことが、納得のいく判断をするためには重要です。
各ハウスメーカーの最新の坪単価情報や、価格の推移については、積水ハウスの坪単価はいくら?2024→2025の推移とシリーズ別の目安で、私の実例も含めて赤裸々に解説しています。
メーカーは違えど、価格の考え方は共通する部分が多いので、ぜひ参考にしてみてください。
ヘーベルハウスと狭小住宅に関するよくある質問(FAQ)
Q1. ヘーベルハウスは壁が厚いので部屋が狭くなると聞きましたが本当ですか?
A. はい、物理的には事実です。
ヘーベルハウスのALCコンクリート壁や鉄骨構造は厚みがあるため、一般的な木造住宅に比べて壁の厚みが増し、その分、室内有効面積(内法)は若干狭くなります。
例えば同じ6畳間でも、数センチずつ部屋が狭くなるイメージです。
ただし、その分「遮音性」「断熱性」「耐火性」といった性能面での恩恵も非常に大きいです。
設計次第(吹き抜けや視線の抜けを作るなど)で視覚的な広さはカバーできるので、物理的な数センチの差と、圧倒的な安心感を天秤にかけて判断することをお勧めします。
Q2. 狭小地でも「そらのま」を作る余裕はありますか?
A. むしろ、狭小地こそ「そらのま」が活きるケースが多いです。
狭小地では1階に庭を作っても日当たりが悪かったり、道路からの視線が気になったりして使えないことが多いです。
それならば、思い切って2階リビングの一部を削ってでも「そらのま」を作り、空からの光を取り込んだ方が、結果的にLDK全体が広く明るく感じられるという実例はたくさんあります。
「床面積」よりも「空間の豊かさ」を優先する、という考え方が狭小住宅成功の鍵です。
Q3. 積水ハウスとヘーベルハウス、狭小地ならどちらがおすすめですか?
A. 非常に悩ましい選択ですが、重視するポイントによって異なります。
「要塞のような安心感」と「外部からの視線を遮断した囲われたプライベート空間(そらのま)」を最優先するならヘーベルハウス。
「メーターモジュールによる廊下・階段のゆとり」や「庭や自然と一体化するデザイン(life knit design)」を重視するなら積水ハウスがおすすめです。
個人的には、毎日通る廊下や階段の幅が約7〜8cm広い積水ハウスのメーターモジュールは、狭小住宅特有の「移動の窮屈さ」を解消する上で、ジワジワと効いてくる大きなメリットだと感じています。
Q4. 3階建てにすると地震の揺れが心配です。
A. 3階建ては高さがある分、物理的に揺れを感じやすくなるのは避けられません。
しかし、ヘーベルハウスは制震装置「サイレス」等を、積水ハウスは「シーカス」等の制震システムを標準採用(一部除く)しており、揺れを軽減する対策は万全です。
私自身、積水ハウスの工場見学で震度7の揺れを体験しましたが、制震システムの有無で揺れの感じ方が全く違うことに驚愕しました。
どちらのメーカーも「倒壊しない」だけでなく「揺れを抑える」技術を持っているので、構造見学会などで実際の構造体を確認してみることを強く推奨します。
結論:ヘーベルハウスの狭い空間を解決するには
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「ヘーベルハウスは狭い」というキーワードで検索されたあなたの不安は、少しは解消されたでしょうか?
結論として、ヘーベルハウスは構造上の壁の厚みによる物理的な狭さはあるものの、それを補って余りある「無柱空間」や「そらのま」、「キャンチレバー」といった卓越した設計力、そして何より都市部の災害に対する圧倒的な「強さ」を持っています。
「狭い土地だからこそ、何があっても家族を守れる強い家がいい」。そう願う方にとって、ヘーベルハウスは間違いなく最良のパートナーになり得るでしょう。
しかし、家づくりに「絶対の正解」はありません。
もしあなたが、「数値上の強度」と同じくらい、「毎日の階段の上り下りのしやすさ」や「視覚的な広がり」、「洗練されたデザイン性」を求めているのであれば、私が選んだ積水ハウスの「メーターモジュール」や「空間提案」も、ぜひ一度比較検討のテーブルに乗せてみてください。
「狭いから諦める」のではありません。
「狭さを、各社の技術とアイデアでどう乗り越えるか」を楽しむのです。
一生に一度の家づくり。
カタログやネットの情報だけで決めつけず、ぜひ両社のモデルハウスに足を運び、メジャー片手にその空間を体感してきてください。
そこで感じた直感こそが、あなたとご家族にとっての正解になるはずです。
あなたの家づくりが、後悔のない、最高のものになることを心から応援しています!






