こんにちは。住まいをつなぐ「すまつな」運営者の北川晴夫です。
積水ハウスで家づくりを検討し始めると、多くの方が最初に直面する大きな選択があります。
それは、「鉄骨造」にするか、それとも「木造(シャーウッド)」にするか、という問題です。
私自身、家づくりを考え始めた当初は、積水ハウス、住友林業、大和ハウスといった大手メーカーさんを比較検討するところからスタートしました。
(その経緯はこちらの記事で詳しく書いています)
その比較検討の末、積水ハウスにお願いしようと決めた後、次に待っていたのがこの「構造選び」でした。
「ダイナミックフレーム」「シーカス」「MJ接合」「ベルバーン」… カタログやウェブサイトを見ても、積水ハウス独自の専門用語が多くて、正直、その違いがよく分からない、と悩んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「耐震等級3はどっちも同じ?」「メーターモジュールって何?」「結局、我が家にはどっちが合っているの?」
こうした疑問は、人生最大の買い物で絶対に後悔したくないからこそ生まれる、当然の悩みだと思います。
この記事では、積水ハウスの鉄骨造(イズ)を建てて、現在はメチャクチャ快適に住んでいる施主である私・北川が、あなたのそんな疑問や不安を解消できるよう、積水ハウスの複雑な構造と工法の違いについて、実体験も交えながら、できるだけ分かりやすく解説していきます。
構造選びは、これから建てる家の「性格」そのものを決める、最も重要な選択の一つです。
ぜひ最後までご覧いただき、あなたにとって最適な選択をするための参考にしてください。
記事のポイント
- 鉄骨と木造(シャーウッド)の根本的な違い
- 耐震・制震技術(シーカス等)の役割
- メーターモジュールの利点と注意点
- オーナー目線での構造選びの決め手
積水ハウスの構造 徹底比較
積水ハウスを選ぶ際、最初の大きな分岐点が「鉄骨」にするか「木造(シャーウッド)」にするかです。
どちらも非常に高性能ですが、その特性、つまり「得意分野」が全く異なります。
まずは、この二大構造の違いをしっかり理解することから始めましょう。
他の多くのハウスメーカーさんが鉄骨専門だったり木造専門だったりする中で、積水ハウスさんはこの両方を高いレベルで提供している、ちょっと珍しい存在なんです。
鉄骨と木造 どっちを選ぶ?
これは、私自身が積水ハウスと契約するまでに、最も悩んだポイントの一つです。
妻や子供たちとも何度も話し合いましたし、営業担当の店長や設計士さんにも、それぞれのメリット・デメリットを詳しく聞き、かなり時間をかけて考え抜きました。
積水ハウスは、主に1・2階建てで採用される軽量鉄骨の「ダイナミックフレーム・システム」、3・4階建てに対応する重量鉄骨の「フレキシブルβシステム」、そして木造1~3階建てに対応する「シャーウッド構法」という、複数の構造システムを展開しているハウスメーカーです。
だからこそ、私たち施主は「どっちも選べる」という贅沢な悩みに直面するわけですね。
それぞれの特徴を簡単にまとめると、以下のようになります。
どちらも一長一短があり、本当に悩ましい選択でした。
▼鉄骨造の特徴
- 🏭 工場で精密に生産された構造部材を用いることによる「品質の安定性」と、構造計算や実験検証に裏付けられた「強度」。現場加工を減らし、施工品質のばらつきを抑える仕組みが整えられています。
- 📏 「ダイナミックビーム」等の独自技術による、柱の少ない「大スパン(大空間)」設計が非常に得意。広々とした開放的なリビングを実現しやすいです。
- 🛡️ 軽量鉄骨1・2階建てには、独自の制震構造「シーカス」を標準採用。地震動エネルギーを吸収し、建物の変形や内外装の損傷を軽減することを目指した仕組みです。ただし、地域・敷地・建物条件やプランによって採用できない場合があります。
▼木造(シャーウッド)の特徴
- 🌳 内装に木を見せる設計や木質仕上げを組み合わせたときに得られる「木」の温もりや質感。ただし、構造材が木であることだけで室内の調湿性能が自動的に高くなるわけではなく、快適性は断熱・換気・空調・内装材などを含む住まい全体で決まります。
- 🌡️ 木材自体が持つ、優れた断熱性。鉄に比べて熱を伝えにくいため、「熱橋(ヒートブリッジ)」のリスクが低く、断熱性能を高めやすいです。
- 🔗 伝統的な軸組工法を独自に進化させた「MJ(メタルジョイント)接合システム」による、設計の柔軟性と強度の両立。木造でも高い耐震性と自由な間取りを実現します。
ご覧の通り、これは「どちらが優れているか」という単純な話ではありません。
性能面ではどちらも最高レベルですが、得意なことや、家づくりにおける思想が少し違うんですね。
ですから、「あなたが家づくりにおいて何を最優先するかに、どちらが合っているか」で選ぶべき問題です。
選択時の迷いや実際に選んだ後の本音は、積水ハウスの鉄骨と木造はどっちがいい?オーナーが語る後悔と本音で詳しくまとめています。
まずは、どちらの構造を選んでも共通して得られる、積水ハウスならではの「安心感」から見ていきましょう。
共通の安心感:耐震性能
構造が鉄骨であれ木造(シャーウッド)であれ、積水ハウスの住宅哲学の中心にあるのは「家族の命と財産を守る」という揺ぎない安全性です。
特にこの地震大国・日本において、家の「強度」は何よりも重要です。
私が店舗経営者として建物を建てた経験からも、構造の頑丈さは後からではどうにもならない、最も基本的な要素だと痛感しています。
その象徴が、積水ハウスが標準として掲げる高い耐震性能と、一邸ごとの設計条件に応じた構造検討です。
耐震等級3を標準とする高い耐震性
積水ハウスは、鉄骨・木造のいずれについても、住宅性能表示制度における最高等級である「耐震等級3」を標準とする耐震設計を掲げています。
ただし、「耐震等級3が標準」という表現と、個別の建物が必ず無条件で等級3になることは同じではありません。極端に大きな開口、特殊な間取り、地域、敷地、建物用途などの条件によって対応可否が変わる可能性があります。また、第三者機関による住宅性能評価書を取得するかどうかも別の手続きです。契約する建物の最終的な等級、評価方法、性能評価書の取得有無は、設計段階で必ず担当者に確認してください。
「耐震等級3」とは、住宅性能表示制度で定められた地震に対する構造躯体の倒壊等防止・損傷防止の等級のうち、最も高いランクです。一般に、等級1で想定する地震力に対して1.5倍の力を基準に評価されます。
等級1は、数百年に一度程度発生する地震力に対して倒壊・崩壊しないことなどを想定した基準で、等級3はその1.5倍の地震力を基準とします。ただし、耐震等級は「どの震度でも無傷」「大地震後も必ず補修なしで住める」ことを保証する表示ではありません。実際の被害は、地震動の周期や継続時間、地盤、基礎、施工状態、家具の固定状況などにも左右されます。
消防署や警察署などの防災拠点に求められる耐震性の説明で等級3が引き合いに出されることがありますが、公共建築物には用途や重要度に応じた独自の設計条件もあります。そのため、住宅の耐震等級3と、すべての消防署・警察署の性能が完全に同一という意味ではありません。ここでは、住宅性能表示制度上の最高等級と理解するのが正確です。
さらに積水ハウスが凄いのは、単に計算上の等級をクリアしているだけでなく、実際に阪神・淡路大震災や東日本大震災クラスの巨大な揺れ(時にはそれを超えるエネルギー)を再現した実物大の振動実験を、自社の施設で繰り返し行っている点です。
また、積水ハウスは公式サイトにおいて、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震の被害エリアにあった同社住宅について、地盤移動および津波によるものを除き「全壊・半壊ゼロ」だったと公表しています。これは「過去に発生したあらゆる地震で、すべての積水ハウス住宅が無被害だった」という意味ではなく、公表対象となっている三つの震災と集計条件に基づく実績です。
建物には全壊・半壊に至らなくても、内外装や設備などに補修が必要な損傷が生じる可能性があります。それでも、実物大実験に加えて実際の震災における調査結果が示されていることは、私たち施主にとって、理論だけではない大きな安心材料になると感じます。
地震の揺れを抑える「シーカス」
高い耐震性を基本とした上で、積水ハウスの軽量鉄骨住宅(1・2階建て)には、もう一つの安全技術として制震構造「シーカス」が標準採用されています。ただし、地域・敷地・建物条件やプランによって採用できない場合があります。
それが、地震の「揺れそのもの」を吸収し、建物の変形を抑制する独自の制震システム「シーカス(SHEQAS)」です。
ここが少しややこしいのですが、「耐震」と「制震」は目的が異なります。
耐震と制震の違い
耐震:建物の骨組み自体の強度や剛性を確保し、地震の力に「耐える」考え方です。主に倒壊・崩壊を防ぎ、人命を守ることを目的とします。積水ハウスは鉄骨・木造とも耐震等級3を標準とする設計を掲げていますが、個別条件は確認が必要です。
制震:建物に組み込んだダンパーなどで地震動エネルギーを吸収し、建物の変形を「抑える」考え方です。構造躯体や内外装の損傷を軽減し、地震後の生活継続に役立つことが期待されます。シーカスは軽量鉄骨1・2階建て向けの技術で、採用条件はプランなどによって異なる場合があります。
このシーカスが、本当に凄いんです。
私は契約前に、積水ハウスの工場見学に参加させていただき、このシーカスの性能を文字通り「体感」しました。
家族で実験棟に入り、再現された震度7クラスの揺れを体験したのです。
足元から突き上げるような、立っていられないほどの凄まじい揺れであることは間違いありません。
その体験設備でシーカスの有無による揺れ方の違いを比較し、揺れを抑える技術の意味を体感できました。ただし、体験設備で感じた揺れ方は、実際の住宅で発生するあらゆる地震動をそのまま再現するものではありません。
壁にかけられた絵画なども、大きく揺れはするものの、落下するようなことはありませんでした。
案内してくださったスタッフの方からは、体験設備が非常に多くの来場者に繰り返し使われているという説明も受けました。ただし、来場者向けの地震体験回数と、住宅の安全性を検証する公式な実大振動実験の回数は、目的も試験条件も異なる別の数字です。「震度7を9000回受けても住宅が無傷だった」という性能表示として受け取るのは正確ではないため、ここでは私が現地で受けた説明と、公式な性能検証を分けてお伝えします。
この体験は、私が最終的に積水ハウスに、そして鉄骨造に決めた決定的な理由の一つになりました。
詳しくは、私の実体験をまとめた以下の記事でも熱く語っていますので、よろしければご覧ください。
参照:私が積水ハウスに“人生最大の買い物”を託した理由【決定的体験】
シーカスは、構造フレームに組み込まれた特殊な高減衰ゴムを用いたダンパーが、地震の運動エネルギーを瞬時に熱エネルギーに変換して吸収・放散します。
積水ハウスの公式説明では、同社の耐震構造との比較において、地震時の住宅の変形量を1/2以下に抑えるとされています。ただし、発生する地震や建物プランによっては、低減効果が1/2以下にならない場合があるという注記もあります。
これがもたらす価値は、「倒壊しない」というレベルを遥かに超えています。
建物の変形が少なくなれば、構造躯体だけでなく、内装の亀裂や外壁などの損傷を軽減できる可能性があります。一方、家具の転倒や物の落下は、建物の揺れだけでなく、家具の形状、置き方、固定状況にも左右されます。シーカスを採用していても、家具固定や落下防止といった室内の地震対策は別に必要です。
つまり、大地震に見舞われた後も「わが家」で生活を続けられる可能性を高めるための重要な技術の一つですが、地震後に補修が一切不要になることや、必ず在宅避難できることを保証するものではありません。
これは、家族の命だけでなく、「財産」としての家の価値と、被災後の「日常」を守る上で、非常に重要な技術だと私は考えています。
なお、木造の「シャーウッド」は、軽量鉄骨向けのシーカスを搭載する構造ではありません。その代わり、MJ接合システム、基礎ダイレクトジョイント、耐力壁、床・屋根などを組み合わせ、シャーウッド構法として高い耐震性を実現しています。鉄骨と木造は仕組みが異なるため、単純に同一性能と断定するのではなく、各構法の設計条件と最終的な耐震等級を確認することが大切です。
鉄骨システム(1・2階建て)
ここからは、各構造システムの具体的な特徴を、もう少し詳しく見ていきましょう。
まずは、私自身も選んだ、1・2階建て用の軽量鉄骨システムです。
ダイナミックフレームと大空間
1・2階建て用の鉄骨システムは「ダイナミックフレーム・システム」と呼ばれます。
これは、軽量鉄骨を主要な構造材とする積水ハウス独自の構法です。一般には鋼材の厚さで軽量鉄骨・重量鉄骨を説明することもありますが、商品や部材のすべてを一つの厚さだけで分類できるわけではないため、ここでは構法上の区分として捉えるのが適切です。
柱・梁と、地震などの水平方向の力に抵抗するブレースを組み合わせて骨組みを構成し、工場生産された部材を現場で精度よく組み上げます。
このシステムの最大の武器であり、積水ハウスの鉄骨造が「大空間」を実現できる秘密兵器が、独自開発された高強度の梁(はり)「ダイナミックビーム」です。
公式情報では、「ダイナミックビームR」は同社標準梁との比較で約5倍、「ダイナミックビームK」は約10倍の曲がりにくさを持つと説明されています。ここでいう倍率は、梁の曲がりにくさを示す断面二次モーメントの比較であり、一般的な鉄骨梁すべてと比べた万能な「強度倍率」ではありません。これらの梁により、軽量鉄骨で最大スパン7メートルの柱や間仕切りのない空間が可能とされていますが、実現できる寸法は荷重、階数、開口、間取りなどの設計条件によって変わります。
これが、積水ハウスが提案する「ファミリー スイート」のような、リビング・ダイニング・キッチン、そして時にはテラスまでが一体となった、視界を遮るもののない広々としたオープンリビングを実現できる工学的な裏付けなのです。
私の自宅も、この「ダイナミックフレーム・システム」を採用する商品「イズ」を選びました。
このおかげで、プライバシーを確保するために外周を壁で囲む「コートハウス(中庭型)」という、ともすれば閉鎖的になりがちなプランでありながら、リビングに大きな吹き抜けを設け、そこからたっぷりと光を取り込むことで、採光と開放感を両立させるという、相反する要望を叶えるプランが可能になりました。
もし柱が必要な構造だったら、この間取りは実現できなかったでしょう。
参照:【積水ハウス 仕様決定までの道のり Vol.4】初プラン提案!要望は形になったのか?
また、このダイナミックフレーム・システムでは、積水ハウスの象徴とも言える高級外壁「ダインコンクリート」が組み合わされることが多いのも特徴です。
ダインコンクリートは、積水ハウスが軽量鉄骨住宅向けに展開するオリジナル外壁です。高温・高圧の「オートクレーブ養生」によって安定したトバモライト結晶を生成し、独立気泡と組み合わせることで高い強度・耐久性を実現しています。製品ごとに成型するキャスティング製法による、彫りの深い意匠と重厚感に惹かれる方も多いのではないでしょうか。
現在の公式説明では、高耐候クリア塗装、防汚塗装、高耐久目地を組み合わせた「タフクリア-30」によって、外壁のメンテナンスサイクルを約30年に延ばす考え方が示されています。これは30年間まったく点検が不要という意味ではなく、立地や環境によって劣化状況も異なるため、所定の定期点検が大切です。
さらに、地震時に外壁パネル自体が割れたり脱落したりするのを防ぐ「外壁パネルロッキング工法」という、取り付け方の工夫も施されており、まさに多重の安全対策が施されています。
鉄骨システム(3・4階建て)
次に、主に都市部の限られた敷地や、店舗・賃貸併用住宅、二世帯住宅などでその真価を発揮するのが、3・4階建て用の重量鉄骨システムです。
フレキシブルβの設計自由度
3・4階建て用は「フレキシブルβ(ベータ)システム」と呼ばれ、重量鉄骨による「梁勝ちラーメン構造」を採用しています。
「ラーメン構造」というのは、柱と梁をガッチリと剛接合することで、骨組み全体で地震などの力に抵抗する構造のこと。
積水ハウスは、このシステムについて、住宅でありながら構造計算上は高さ60メートルの高層ビルと同じ耐震基準で設計すると説明しています。これは、住宅が高層ビルとまったく同一の部材や構造形式になるという意味ではなく、構造計算・耐震設計上の基準に関する説明です。
この構造を採用することで、ダイナミックフレーム・システムで必要だった「ブレース(筋交い)」が不要になり、設計の自由度がさらに向上します。
そして、この「フレキシブルβ」の大きな特徴が、梁勝ち構造によって通し柱を必要とせず、階ごとに柱位置を変えられる点です。
「通し柱」というのは、建物の1階から最上階までを貫く一本の柱のことです。
これが構造上必要だと、どうしても各階の間取りが、その通し柱の位置に縛られてしまいます。
しかし、フレキシブルβシステムでは、この通し柱が不要。
そのため、通し柱の位置に各階の間取りを合わせる必要がなく、階ごとに柱位置を調整しやすくなります。ただし、構造安全性、梁の架け方、設備配管、耐火・斜線・高さ制限などの条件は受けるため、何の制約もなく完全に自由という意味ではありません。
例えば、こんなことが可能になります。
▼フレキシブルβが可能にする自由な間取り例
- 1階:柱をできるだけ少なく、壁もない大開口にして、車3台がゆったりと並列駐車できるビルトインガレージに。
- 2階:柱の位置を1階とは全く変えて、日当たりの良い南側に広々としたLDKを配置し、北側には賃貸用の住戸を設ける。
- 3階:さらに柱の位置を調整し、家族それぞれのプライベートな居室や水回りを効率よく配置する。
このように、通し柱による制約を受けにくいため、フロアごとに異なる用途や間取りを計画しやすいことが大きな利点です。
敷地が限られ、高さ制限などの法規制が厳しい都市部で、敷地を有効活用しながら理想の空間を目指す際に、有力な選択肢となるでしょう。
まさに「柔軟(フレキシブル)」な、都市型住宅のためのシステムですね。
木造「シャーウッド」の魅力
さて、ここまでは鉄骨システムについて詳しく解説してきましたが、積水ハウスのもう一つの、そして非常に強力な柱が、木造住宅「シャーウッド」です。
「積水ハウスといえば鉄骨」というイメージが根強いかもしれませんが、このシャーウッドは、決して鉄骨の「廉価版」や「代替品」ではありません。
鉄骨造で培ってきた高度な工業化技術と、徹底した品質管理の哲学を、日本の伝統的な木造建築に注ぎ込み、まったく新しい次元へと昇華させた、先進的な木造システム建築なのです。
シャーウッドは、木造軸組構法として型式適合認定を取得しています。型式適合認定とは、あらかじめ標準化された構法や仕様が、構造・温熱・防火など関係する規定に適合することを指定評価機関が審査する制度です。「国の基準を上回ることを一律に証明する制度」というより、認定された型式が関係法令の規定に適合していることを確認し、個別の確認手続きを合理化する仕組みと理解するのが正確です。
独自の「MJ接合システム」
シャーウッドの技術的な核心であり、その強さと設計自由度を支えているのが、「MJ(メタルジョイント)接合システム」です。
日本の伝統的な木造建築(在来軸組工法)では、柱と梁といった部材同士を接合するために、「仕口(しぐち)」や「継手(つぎて)」と呼ばれる、木材側を複雑な形に削って組み合わせる加工が必要でした。
これは大工さんの高い技術が必要とされる一方、「木材を削る」という行為そのものが、どうしてもその部分の断面積を減らしてしまうため、構造的な弱点(断面欠損)となる可能性があったのです。
シャーウッドは、この伝統工法の弱点を、まったく新しい発想で解決しました。
木材を大きく複雑に切り欠く代わりに、工場で木材に精密なスリットや穴を加工し、独自の構造用金物(メタルジョイント)を差し込んで強固に緊結します。
これにより、木材の断面欠損を最小限に抑え、木材が持つ本来の強度を最大限に引き出すことが可能になりました。
さらに、接合部の強度が計算上明確になり、ばらつきが少なくなるため、より安定した、信頼性の高い構造性能が確保されます。
そして、構造材には、強度を管理しやすく、無垢材に比べて反りやねじれなどのばらつきを抑えやすい「シャーウッドプレミアム構造材」などの集成材を使用しています。
この「MJ接合システム」と強度管理された集成材の組み合わせによって、シャーウッドは高精度な木造フレームを実現し、木造でありながら大開口や吹き抜け、柱の少ない開放的な空間設計を可能にしています。「鉄骨に匹敵する」という抽象的な比較よりも、木造として必要な耐震性能と空間自由度を独自技術で両立している、と捉えると分かりやすいでしょう。
シャーウッドハイブリッド構造と基礎ダイレクトジョイント
さらにシャーウッドの強さを支える技術として、「シャーウッドハイブリッド構造」と「基礎ダイレクトジョイント」があります。
シャーウッドハイブリッド構造は、柱と梁で骨格を構成する「ラーメン構造」の自由度と、壁・床・屋根を一体化させて面で支える「モノコック構造」の剛性を組み合わせた、まさにいいとこ取りの構造です。これにより、建物全体が一体となって地震の力に抵抗します。
そして基礎ダイレクトジョイントは、一般的な木造住宅のように基礎の上に「土台」という木材を敷くのではなく、専用のアンカーボルトと金物を使って、基礎と柱を直接、強固に緊結する独自の工法です。
これにより、柱に加わる力を木製の土台を介さず基礎へ伝え、地震時の力に抵抗する仕組みを構成します。柱脚の引抜きなどに対する性能は、接合金物、アンカーボルト、基礎を含めて一体的に設計されます。
これは鉄骨造で培われた「基礎への力の伝達」に関するノウハウが、木造にも応用されている例と言えるでしょう。
高級外壁「ベルバーン」
そして、シャーウッドの「顔」とも言えるのが、専用の陶版外壁「ベルバーン」です。
鉄骨造の「ダインコンクリート」が、オートクレーブ養生された特殊なコンクリート製であるのに対し、「ベルバーン」は粘土などを主原料とし、釉薬をかけて約1100℃という非常に高温で焼成される「焼き物」、つまり陶器の仲間です。
一般的な窯業系サイディングなどの外壁材が、セメントなどを固めた基材の表面に「塗装」で色や模様を付けているのとは根本的に異なります。
ベルバーンは、素材そのものが焼き物としての色と質感を持ち、非常に安定した組成となっているのです。
その最大のメリットは、「卓越した耐候性」です。
あなたのご家庭にある陶器のお茶碗やタイルが、何十年経っても色褪せたり、変質したりしないのと同じ原理です。
ベルバーンは、太陽の紫外線や雨風に長期間さらされても、色褪せや変色がほとんど起こりません。
ベルバーンは表面を塗装で着色する一般的な外壁とは異なるため、陶版そのものについては通常の外壁塗装のような定期的な再塗装を基本的に必要としない点が大きな魅力です。ただし、「外壁全体が永久にメンテナンスフリー」という意味ではありません。
パネル間の目地、開口部まわり、防水部材、取り合い部分などは別に点検が必要です。積水ハウスは高耐久目地によって外壁のメンテナンスサイクルを約30年とする考え方を示していますが、これは保証年数そのものではなく、環境や施工条件によって状態は異なります。所定の定期点検を受け、必要と判断された補修を行うことが大切です。
この再塗装負担を抑えやすい特性は、初期コストが一般的なサイディングより高くなる場合がある一方、長期間住み続ける際の維持管理費を抑える方向に働きます。ただし、実際の生涯コストは建物形状、足場費、目地や防水部の補修内容などでも変わるため、必ず「大幅に安くなる」とまでは断定せず、見積もりと長期修繕計画で比較するのが安心です。
外壁とあわせて確認したい積水ハウスの屋根・雨仕舞いと保証は、別記事で施主目線から解説しています。
また、性能面だけでなく、その高い意匠性もベルバーンの大きな魅力です。
焼き物ならではの、自然で深みのある色合い、温かみのある土肌の質感、そして光の当たり方によって微妙に変化する豊かな表情は、他の工業製品的な外壁材では得難い、独特の高級感と存在感を住まいに与えてくれます。
ダインコンクリートが持つ、どちらかというと硬質でモダンな「重厚感」とはまた違う、日本の風景にも馴染むような、落ち着いた「上質感」がベルバーンの持ち味と言えるでしょう。
参考記事:積水ハウスの外観はダサい?後悔しないための色・素材・窓配置の鉄則
設計の基本「モジュール寸法」
さて、家の構造(鉄骨か木造か)を決めたら、次に家の「広さ」や「使い勝手」、「ゆとり」の感覚を左右する、非常に重要な設計上のルールについて知っておく必要があります。
それが「モジュール」という考え方です。
これは、設計の際の基本的な「ものさしの単位」のようなものと考えてください。
メーターと尺の違いは?
日本の伝統的な木造住宅では、古くから「尺(しゃく)モジュール」という寸法が基本単位として使われてきました。
これは、柱の中心から隣の柱の中心までの距離を「3尺(さんじゃく)=約910mm」とする考え方です。
廊下幅や部屋の大きさなど、すべてがこの910mmの倍数で設計されるのが基本でした。
それに対し、積水ハウスが設計の基本単位として長年採用しているのが「メーターモジュール」です。大手ハウスメーカーがすべてメーターモジュールというわけではなく、尺モジュールを基本とする会社や、複数の寸法体系を使い分ける会社もあります。
これは、柱の中心から中心までの距離を、キリの良い「1,000mm(=1メートル)」とする考え方です。
「たった9cm(1000mm - 910mm = 90mm)の違いでしょ?」と思われるかもしれませんが、この「約9cm」の差が、積み重なることで家全体のあらゆる場所に「ゆとり」を生み出します。
例えば、具体的にどのような違いが出るかというと…
メーターモジュールの「ゆとり」具体例
- 廊下幅:壁芯寸法が910mmと1,000mmでは約90mmの差があり、壁厚を差し引いた有効幅にも差が出ます。積水ハウスの説明例では、メーターモジュールの廊下で有効幅約85cmが示されていますが、実際の有効幅は壁の仕様や手すりの有無などで変わります。
- 階段幅:同様に階段の幅も広くなるため、上り下りが楽になり、大きな荷物を持っての移動も安全性が増します。
- トイレ・洗面脱衣所:これらの比較的狭い空間も、9cm広くなるだけで圧迫感がかなり軽減され、使い勝手が向上します。
さらに、部屋の広さにも大きな影響が出ます。
ここで注意したいのが、「6畳」という表記とモジュールの関係です。尺モジュールの6畳を約9.93平方メートル、メーターモジュールの6畳を12平方メートルと単純に比較する説明も見かけますが、この比較は一般化できません。
畳には京間・中京間・江戸間・団地間など複数の寸法があり、住宅広告などでは1畳を1.62平方メートル以上として表示するルールもあります。一方、メーターモジュールの3m×4mの部屋は確かに12平方メートルですが、それを必ず「6畳」と呼ぶわけではありません。
つまり、同じ6畳表記ならメーターモジュールの方が必ず約20%広いという説明は不正確です。部屋を比較するときは、畳数だけでなく、図面に記載された壁芯寸法、内法寸法、平方メートル数を確認してください。家具の配置まで考えるなら、窓、扉、収納の位置も含めた実寸確認が重要です。
また、この「ゆとり」は、将来、ご自身やご家族が車いすでの生活が必要になった場合など、バリアフリーの観点からも非常に大きなメリットとなります。
メーターモジュールによる広めの廊下は、車いすで直進したり、介助したりする際のゆとりにつながります。ただし、車いすが360度回転するには、一般に直径150cm程度のスペースが一つの目安とされ、廊下幅約85~87cmだけでその場回転できるわけではありません。将来の車いす利用まで考える場合は、廊下幅だけでなく、曲がり角、出入口の有効幅、トイレや洗面所の転回スペース、引き戸の採用などを設計士さんと確認する必要があります。
このように、メーターモジュールは現代のライフスタイルに合った「ゆとり」を提供してくれる一方で、いくつかの注意点もあります。
注意点:メーターモジュールのデメリット
メーターモジュールは「ゆとり」が最大のメリットですが、いくつかの注意点も理解しておく必要があります。
コストへの影響
日本の建材市場では、壁の下地材である石膏ボードや合板、あるいは畳や襖といった建具など、今でも「尺」を基準にした製品(910mm×1820mm、いわゆるサブロク板など)が主流です。
一般論としては、尺を基準にした市販建材をメーターモジュールの建物で使う場合、加工や納まりの調整が必要になることがあります。ただし、積水ハウスはメーターモジュールを前提に部材を規格化し、工場生産や専用部材を活用しているため、「メーターモジュールだから必ず大量の端材が出て高くなる」とは限りません。
一方で、他社の尺モジュール向け建具や設備を採用したい場合、サイズ調整や特注対応によって選択肢・価格に影響する可能性はあります。標準仕様から変更したい設備がある方は、早い段階で納まりと追加費用を確認すると安心です。
参考記事:積水ハウスの見積書はここを見れば損しない:項目別チェックと交渉余地
土地利用効率
特に都市部の狭小地や変形地など、限られた土地にできるだけ効率よく建物を配置したい場合、910mmという、より細かい単位で設計できる尺モジュールの方が有利な場合があります。
ただし、実際の積水ハウスの設計が、建物全体を1,000mm刻みでしか動かせないという意味ではありません。構法や部位に応じてより細かな寸法調整が行われます。狭小地や変形地への対応力は、モジュールだけでなく、構造システム、柱・耐力壁の配置、建築法規、施工条件を含めた設計力で決まります。
どちらのモジュールが良いかは、一概には言えません。
広い敷地を確保できる場合はメーターモジュールの「ゆとり」が大きな魅力になりますが、敷地条件や予算によっては、尺モジュールの方が合理的な選択となることもあります。
積水ハウスの基本はメーターモジュールです。すべての商品・地域・プランで尺モジュールを選択できるとは限りません。尺寸法への個別対応を希望する場合は、対応可能な範囲と費用を担当者へ確認してください。
ご自身の敷地条件や優先順位に合わせて、メーターモジュールのゆとりをどう活かすか、細かな寸法調整がどこまで可能かを設計士さんと相談することをお勧めします。図面を見る際は、グリッド寸法だけでなく、実際に使える内法寸法まで確認することが後悔防止につながります。
積水ハウスの構造と工法に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 鉄骨は夏暑く、冬寒いと聞きますが、大丈夫ですか?
A. 良いご質問ですね。これは私も契約前に気になった点でした。
確かに、素材の特性として鉄(鋼材)は、木材に比べて熱を伝えやすい(熱伝導率が高い)性質があります。
そのため、適切な対策がされていないと、「熱橋(ヒートブリッジ)」と呼ばれる現象が起こりやすくなります。
これは、外壁内部にある鉄骨の柱や梁を通じて、外の暑さや寒さが直接室内側に伝わってしまい、壁内結露の原因になったり、冷暖房効率を悪化させたりするリスクです。
しかし、積水ハウスでは、この熱橋対策は非常に徹底されています。
積水ハウスでは、床・壁・天井や開口部を含めて断熱ラインを連続させる「ぐるりん断熱」を採用し、熱橋にも配慮した断熱設計を行っています。
鉄骨造では鋼材が熱を伝えやすいことを前提に、断熱材の配置や専用部材などによって熱の出入りを抑えます。私自身、積水ハウスの工場見学で断熱構造の仕組みを確認し、鉄骨造を選ぶ上での大きな安心材料になりました。
積水ハウスは2022年4月から、ZEH水準に相当する「断熱等性能等級5」と「一次エネルギー消費量等級6」に対応する仕様を標準化したと公表しています。現在はさらに断熱等級6にも対応可能と案内していますが、対応可能とすべての住宅で等級6が標準は別の意味です。地域、構法、窓の大きさ、間取り、採用仕様によってUA値や等級は変わるため、自邸の数値を確認してください。
したがって、「鉄骨だから必ず寒い・暑い」と決めつける必要はありませんが、「積水ハウスなら条件に関係なく絶対に快適」と断定することもできません。快適性は断熱性能だけでなく、日射取得・遮蔽、窓性能、空調計画、換気、気密施工、住まい方などの影響も受けます。
なお、積水ハウスは断熱性能を公式に示していますが、すべての住宅について一律のC値を公表しているわけではありません。「高い気密性」とだけ断定するより、気密測定を希望する場合は実施可否や測定条件を契約前に確認するのが確実です。
Q2. 木造のシャーウッドは、シロアリが心配です。
A. 木造住宅を検討する上で、シロアリ対策は非常に重要なポイントですよね。ご心配、よく分かります。
シャーウッドでは、まず構造的な工夫として、一般的な木造住宅と異なり、基礎の上に「土台」という木材を設置せず、基礎と柱を専用のアンカーボルトと金物で直接緊結する「基礎ダイレクトジョイント」を採用しています。
これは主に、柱に加わる力を基礎へ伝えるための耐震技術です。木製の土台を用いない点は構造上の特徴ですが、それだけでシロアリの侵入を防げるわけではありません。シロアリは基礎のひび割れ、配管まわりなどさまざまな経路から侵入し得るため、構造、薬剤処理、点検を組み合わせて備える必要があります。
もちろん、それだけでは万全ではありません。
シャーウッドでは、出荷前に柱の木口へ防腐・防蟻処理を行うなど、工場で実施できる対策を組み込んでいます。ただし、「法定範囲を超える広範囲の木部すべてに加圧注入処理が行われる」と一律に考えるのは適切ではありません。処理する部位、薬剤、施工方法、保証期間、再処理の時期は、建築地域や仕様によって確認してください。
さらに、積水ハウスの充実したアフターサポート体制も、シロアリ対策の安心感を高めています。
積水ハウスでは、2018年4月1日以降の契約分を対象に、構造躯体と雨水の浸入を防止する部分について「初期30年保証制度」を設けています。初期30年の間には所定の定期点検があり、10年・20年点検時に会社が必要と判断した補修工事を行うことで保証が継続される仕組みです。
「ユートラスシステム」は、初期30年保証の終了後、必要な有料点検と有償補修工事を行うことで、その後10年の再保証を繰り返せる制度です。初期30年保証期間中の所定点検と、30年経過後の再保証に必要な有料点検は分けて理解する必要があります。また、ユートラスの主対象は構造躯体と防水であり、シロアリ保証の条件がすべて同じとは限りません。
シロアリについては、点検内容、保証対象、免責事項、必要な再防蟻処理の時期と費用を、契約書・保証書で個別に確認してください。このように、シャーウッドでは、基礎と柱の接合方式、工場での防腐・防蟻処理、引き渡し後の点検と必要な再処理を組み合わせて、シロアリのリスクに備えます。
シロアリ対策の内容は他社でも異なるため、単純な優劣はつけられませんが、シャーウッドでも構造上の工夫と工場処理、点検・再処理を組み合わせた対策が用意されていることは確認できます。
Q3. 将来リフォームするなら、鉄骨と木造どちらが有利ですか?
A. これは将来のライフスタイルの変化を考える上で、重要な視点ですね。
結論から言うと、木造だから常に有利、鉄骨だから常に不利とは言い切れません。リフォームの自由度は、構造材の種類だけではなく、耐力壁・ブレース・柱・梁の位置、基礎、設備配管、開口、増築範囲など、現在の設計内容によって決まります。
そのため、構造システムごとの「動かせない部分」を正確に把握することが重要です。
鉄骨の「ダイナミックフレーム・システム」は、地震などの水平方向の力に対抗するために、「ブレース(筋交い)」と呼ばれる斜めの部材が入った「耐力壁」が、構造上どうしてもいくつか必要になります。
このブレースが入った耐力壁は、家の強度を支える非常に重要な部分なので、後から基本的に撤去したり、位置を大きく移動させたりすることができません。
(※重量鉄骨の「フレキシブルβシステム」はラーメン構造なのでブレースはありませんが、柱と梁の接合部などが重要になるため、やはり大規模な変更には制約があります。)
一方、木造の「シャーウッド」は、木造軸組構法をベースに、耐力壁、床、屋根、接合部などを組み合わせたハイブリッド構造です。
木造であっても耐力壁や抜けない柱があり、壁を自由に撤去できるわけではありません。反対に、鉄骨でも非構造の間仕切り壁であれば変更しやすい場合があります。したがって、構造種別だけでリフォームの優劣を決めるのは避けるべきです。
シャーウッドであっても、構造上どうしても抜くことのできない柱や、耐力壁として機能している壁は存在します。
どちらの構造を選んだとしても、家の強度に関わる柱や壁を後から変更する際には、専門家(建築士)による詳細な構造計算と、それに基づいた適切な補強工事が絶対に必要です。
安易な自己判断でのリフォームは、建物の耐震性を著しく低下させる危険がありますので、絶対に避けてください。
もし、将来的に「子供が独立したら、子供部屋と書斎を繋げて広い趣味室にしたい」といった具体的なリフォームの可能性がある場合は、家を建てる前の設計の段階で、その要望をあらかじめ設計士さんに伝えておくことが、非常に重要です。
そうすれば、将来の変更を見越して、構造的に影響の少ない壁の配置などを考慮したプランニングをしてもらえる可能性があります。
リフォームのしやすさも、家づくりの大切な要素の一つですので、ぜひ初期段階から相談してみてください。
Q4. 鉄骨の「シーカス」と木造「シャーウッド」、結局どちらが地震に強いですか?
A. これは本当に多くの方が悩まれるポイントだと思いますし、私も最終決定まで非常に悩みました。
結論から言うと、鉄骨・木造ともに、耐震等級3を標準とする設計が用意されており、構法ごとに高い耐震性を追求しています。
ただし、材料名だけで地震への強さを決めることはできません。同じ等級でも建物の形状、地盤、基礎、壁量・壁配置、重量、施工、地震動の性質などによって応答や損傷の出方は変わります。
どちらを選ぶ場合も、自邸の最終的な耐震等級、構造計算・住宅性能評価の内容、地盤改良の要否、制震技術の採用条件を確認することが大切です。
「強い」ということに対するアプローチ、つまり地震に対する「思想」が少し異なります。
- 鉄骨(シーカス搭載)のアプローチ:
まず「ダイナミックフレーム・システム」で必要な耐震性を確保し、その上で「シーカス」が地震動エネルギーを吸収して建物の変形を抑えます。これにより、構造躯体や内外装の損傷を軽減し、地震後の生活継続性を高めることを目指す考え方です。家具転倒は別途固定対策が必要です。 - シャーウッド(木造)のアプローチ:
「MJ接合システム」や「基礎ダイレクトジョイント」、「シャーウッドハイブリッド構造」といった独自技術を組み合わせ、木造として高い耐震性を確保します。軽量鉄骨用のシーカスは搭載しませんが、接合部、基礎、耐力壁、床、屋根を一体的に設計して地震力に抵抗する考え方です。
どちらの思想が「より安心できるか」は、個人の価値観によるところが大きいと思います。
私は、工場見学でシーカスが実際に震度7の揺れを吸収し、建物の変形を抑えている様子を目の当たりにして、「これは凄い。地震の後も安心して住み続けられそうだ」と感じ、鉄骨を選びました。
ですが、一方で、シャーウッドの頑丈な「MJ接合システム」の構造サンプルを見て、「日本の木造技術の進化はここまで来たのか。このガッチリした接合部の方が信頼できる」と感じる方も、きっと多くいらっしゃると思います。
どちらにも積水ハウスが長年培ってきた技術と実験検証があります。最終的には、構造名称の印象だけでなく、自分の間取りで確保される性能と、担当者から示される設計資料を見て判断するのが確実です。
オーナーが語る構造選びの結論
ここまで、鉄骨(ダイナミックフレーム / フレキシブルβ)と木造(シャーウッド)、それぞれの特徴と、共通する耐震性能、そして設計の基本となるモジュールについて、私の経験も交えながら詳しく解説してきました。
さて、いよいよ結論です。
結局、これから積水ハウスで家を建てるあなたは、どちらの構造を選ぶべきなのでしょうか。
実際に建てて快適に住んでいる施主として、僭越ながら私の考えをまとめさせていただきます。
鉄骨システムとシャーウッドシステム、どちらも積水ハウスが技術の粋を集めて開発した、本当に素晴らしい構造です。
どちらか一方が明らかに劣っている、ということは絶対にありません。
それぞれに得意なこと、譲れない強みがあります。
ですから、構造選びで最も大切なのは、「あなたが、これからの『わが家』での暮らしにおいて、何を最も重要視し、何を最優先事項とするか」をご自身の中で明確にし、その価値観により合致する方を選ぶ、ということです。
以下に、これまでお話ししてきた内容を踏まえ、構造選びの判断基準となるポイントをまとめてみました。
ご自身の家づくりへの想いと照らし合わせながら、チェックしてみてください。
あなたはどっち派? 構造選びの判断基準チェックリスト
▼「鉄骨システム」がよりおすすめな方
✅ リビングはとにかく広く!設計条件が合えば実現できる、柱のない「最大スパン7mの大空間」に強く惹かれる。
✅ 地震時の建物の変形や内外装の損傷を軽減し、地震後の生活継続に役立つ「制震(シーカス)」の考え方を重視する。
✅ 「ダインコンクリート」の彫りが深い重厚な外観と、「タフクリア-30」などによる長いメンテナンスサイクルに魅力を感じる。
✅ 都市部の限られた敷地で、3階建て・4階建てや、柱のない大型ビルトインガレージを実現したい。(この場合はフレキシブルβが有力)
✅ 工業化製品としての、天候や職人の技量に左右されにくい「品質の安定性」に、より大きな安心感を覚える。
▼「シャーウッド(木造)」がよりおすすめな方
✅ 「ベルバーン」の焼き物ならではの上質な質感、自然な風合い、陶版自体の再塗装負担を抑えやすいメンテナンス性に強く惹かれる。
✅ 構造だけでなく、あらわし梁、木質天井、無垢床なども取り入れ、木の温もりを感じられる空間デザインを優先したい。
✅ 120mm角の柱を活かした壁内の断熱材の厚みなど、シャーウッド独自の断熱設計に魅力を感じる。ただし、鉄骨・木造とも断熱等級6に対応可能なので、構造名だけでなく自邸のUA値や窓仕様で比較したい。
✅ 将来の間取り変更を考え、構造種別だけで決めるのではなく、将来動かせる壁と動かせない壁を新築設計時から整理しておきたい。
✅ 再生可能な資源である木を構造材に使う考え方に共感する。標準のシャーウッドプレミアム構造材は主に北欧産材で、希望に応じて国産材仕様も選択肢となるため、樹種や産地まで確認したい。
ちなみに私の場合は、繰り返しになりますが、工場見学での「シーカス」の震度7体験があまりにも衝撃的だったこと(「地震の後も、この家なら家族を守れる」と直感した)、そして、私が選んだ商品「イズ」が持つダインコンクリートの重厚感と、大空間設計の自由度の高さに強く惹かれたことから、最終的に「鉄骨造」を選びました。
これは、私の家づくりにおける価値観が、「地震に対する絶対的な安心(特に地震後の生活維持)」と「開放的な空間設計」に、より重きを置いていたからだと思います。
もし私が、「素材の質感」や木質感を活かした空間、ベルバーンの風合いといった点を最優先していたら、シャーウッドをより有力な候補として検討していたと思います。断熱性能や将来のリフォームについては、鉄骨・木造という名称だけで決めず、実際の仕様値と構造図を比べるのが適切です。
どちらを選んでも、きっと素晴らしい家が建つはずです。
大切なのは、ご自身の優先順位をしっかりと見極めることです。
◆北川のワンポイントアドバイス
この記事で、積水ハウスの鉄骨と木造(シャーウッド)の構造や工法について、かなり詳しく解説してきました。
技術的な違いやメリット・デメリットは、ある程度ご理解いただけたかと思います。
しかし、それでもなお、構造選びは、カタログやウェブサイト、そしてこの記事のような情報だけでは、絶対に決めてはいけません。
もしあなたが今、本気でどちらにしようか悩んでいるなら、私からのアドバイスは、結局のところ一つだけです。
必ず「工場見学」や「住まいの参観日(完成現場見学会)」に足を運んでください。
百聞は一見に如かず、です。
工場で、実際に鉄骨の太い梁(ダイナミックビーム)がどのように作られ、どれほどの強度を持つのかを見てください。
シャーウッドの美しい「MJ接合システム」が、いかに精密に、そして強固に木材を繋いでいるのかを、実物で確認してください。
そして、「ダインコンクリート」と「ベルバーン」という二つの最高級外壁材の、写真では伝わらない本物の質感、重厚感、色合いを、ご自身の目で直接比較してください。
さらに可能であれば、シーカス(鉄骨)の地震体験や、完成したシャーウッドの木の家の温かい空気感を、ぜひ「体感」してください。
家づくりは、性能やスペックといった理屈だけで決まるものではありません。
「どちらの構造によりワクワクするか」「どちらの空間が、自分や家族にとってより心地よいと感じるか」といった、ご自身の「感性」も非常に重要な判断基準になります。
ぜひ、ご自身の五感をフルに使って、情報を集め、比較検討し、後悔のない、心から納得のいく選択をしてください。
応援しています!





